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自閉症の人に必要な合理的配慮

合理的配慮とは、「障がいのある人から何らかの助けを求められた場合に、可能な範囲で『サポート』する」を言います。合理的な配慮という表現はなんだか堅苦しいですが、簡単に言えば「困っていたらサポートする」が合理的配慮です。

ちなみに、英語では「reasonable accommodation」。
・reasonable:理にかなった、納得がいく
・accommodation:適応、順応、調節

英訳から読み取ると、「理にかなった方法で周りの環境を調整する」が本来の意味となり、つまりは「環境調整」が合理的配慮を考える上での大切な視点となります。

 

さて、自閉症の障がい特性で考えると、「社会性」「コミュニケーション」「想像力」に主だった3つの特性があり、昔は3つ組の特性と言ったりもしていました。


3つ組のなかで特徴的なのは「想像力の特性」です。これは、「見えないものが想像しづらい」といった特性があり、「初めてのこと」「先のこと」「人の気持ち」「急な変更」「口頭のみの情報」「抽象的なこと」などの見えないものが苦手でもあります。

 

テーマである合理的配慮で考えると、自閉症の「見えないものを想像しづらい」といった特性に対してサポートをすることが有効な配慮に繋がっていきます。
自閉症の人は見えないものが想像できない分、「見えるもの、視覚的なものが理解しやすい」といった強みがあり、ここに合理的配慮のポイントが含まれています。

・口頭だけでなく、写真や実物を見てもらう
・指差しやお手本で情報を提示する
・カレンダーや予定表で先の見通しを伝える
・口頭の際は、時間や数量などの具体的な情報を伝える

 

合理的配慮は、上記の視覚的なコミュニケーションでやりとりがスムーズになります。
ただ、その場に視覚情報がない場合は「口頭のみの情報」になってしまうため、その際は以下がポイントとなります。

「簡潔に短文で、あっさり、はっきり話す」
「ひとつの文にひとつの情報を」

合理的配慮は環境調整の意味もあるため、周りの人(人的環境)が自閉症の人に合わせて少しだけ変化すれば、自閉症の人はきっと仕事や生活がしやすくなると思います。
青く囲った内容を少しでも意識してもらえたらうれしいです。

 

2024年4月1日より、事業者における合理的配慮は義務化(障害者差別解消法)となり、毎年4月2日は世界自閉症啓発デーでもあります。
この機会に、改めて「自閉症と合理的配慮」について、みんなで考えていきたいです。

特別コラムはこちら

2021年、世界自閉症啓発デーに合わせた特別コラムをつくりました。簡単な説明ではありますが、自閉症・発達障がいのことをお伝えしています。
詳しくはこちら。

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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ジョブジョイントおおさかの所長。
障がいのある人の地域生活支援の仕事をして15年。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援など、ライフステージごとの支援に携わってきた。趣味は、登山、散歩、読書。現在は、北アルプス登頂目指してマイペースにトレーニング中。