【特別コラム】学習スタイルのちがいを「強み」に変える ― 発達障害啓発週間の終わりに ―
4月2日の世界自閉症啓発デーに合わせた「発達障害啓発週間」も、今日で最後となりました。
この1週間、さまざまな発信や取り組みが行われる中で、改めて感じるのは、「ちがいを理解することの大切さ」です。
その中でも、今回は「学習スタイル」という視点から、自閉症のある方の強みについて考えてみたいと思います。
「学習スタイルの違い」をどう捉えるか
自閉症のある方は、自閉症のない人とは少しちがった学び方をすることがあります。
例えば、
- 目で見て理解することが得意
- 具体的で明確な情報を好む
- 経験したことをしっかり覚えている
- 同じやり方で安定して取り組める
一方で、こうしたことには難しさを感じることもあります。
- 抽象的な説明
- 曖昧な指示
- 臨機応変な対応
ここで大切なのは、これを「できる・できない」で見るのではなく、「学び方のスタイルが違う」と捉えることです。
「ちがい」は、仕事の強みになる
学習スタイルのちがいは、そのまま仕事の強みにもつながります。
- 細部まで丁寧に確認できる
- 正確に、慎重に作業を進められる
- 反復的な作業でも集中力を維持できる
- 作業のペースが安定している
こうした特性は、いろんな形で大きな強みになり、大きな力を発揮することにつながります。
- 検品やチェック業務
- データ入力や照合作業
- ピッキングや軽作業
- 手順が明確な製造やバックヤード業務
「特性に合った環境」があれば、とても高いパフォーマンスを発揮する
ということは言えるように思いますし、そのように活躍する方はジョブジョイントおおさかから卒業して就職した方もたくさんおられます。
「好むこと」「得意なこと」が力を引き出す
さらに重要なのが、「好むこと・得意なことを活かす視点」です。
- 整理された環境やルールを好む
- 視覚的でわかりやすい情報を好む
- 慣れた手順やルーティンを得意とする
- 興味のあることに深く集中できる
自閉症のある方は、このような特徴があり、環境や伝え方を工夫すれば、力が引き出されるということはたくさんあります。
- 手順を見える化する
- 写真や図で説明する
- 「やってはいけない」ではなく「こうすると良い」と伝える
こうした関わりは、理解を助けるだけでなく、安心して力を発揮できる土台にもなっていきます。
「できるようにする」のではなく、「活かす」
支援や関わりの中では、つい、「苦手を克服すること」に目が向きがちです。
もちろんそれも大切な視点になることもありますが、同じくらい、いやそれ以上に重要なのは「強みをどう活かすか」という視点なように思います。
- 細かいことに気づける
- 真面目にコツコツ取り組める
- ルールを守れる
- 興味のあることに深く没頭できる
これらは、職場において大きな価値になることはありますし、職場での活躍につながることもたくさんあるように思います。
おわりに
自閉症や発達障害のある人の「ちがい」は、もちろん、診断名だけに限らず、十人十色で一人ひとり細かな特性にちがいがあります。
ただ、ちがいは、得意と苦手にわけて整理することもでき、自閉症の人の「好むこと」「得意なこと」を活かす視点が、これからの可能性を広げてくれるように思います。
学習スタイルのちがいを理解し、強みや好むことに目を向けることで、自閉症のある人がその人らしく、安心して働くことができます。
そしてそれは、本人だけでなく、職場や社会にとっても大きな力になるように思います。
ジョブジョイントおおさかとしても、引き続きこのような発信を続け、一人ひとりの働くを応援し続けていきたいです。

特別コラムはこちら
2021年より、世界自閉症啓発デーに合わせた特別コラムを続けています。簡単な説明ではありますが、自閉症・発達障害のことをお伝えしています。
詳しくはこちら。
+++++++++++++++++++
コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

ジョブジョイントおおさかの所長。
障害のある人の就労支援に携わって20年となり、講演実績は150件。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援なども担当してきた。趣味は、散歩、読書、キャンプ、ハイボール。夢の北アルプス登頂を目指してマイペースにトレーニング中。










