【特別コラム】企業が知っておきたい発達障害の理解 ―「環境」と「関わり方」について ―
発達障害のある人と職場で関わる中で、「どう関わればよいのか分からない」「指導がうまくいかない」
と感じる企業担当者の方は少なくないように思います。
ただ、多くの場合、問題は「本人の能力」ではなく、“環境”と“教え方”のミスマッチにあるように思います。
今回は、現場でよく見られる実践をもとに、企業が押さえておきたいポイントを整理してみます。
働きやすさは「環境」で決まる
発達障害のある人が力を発揮できるかどうかは、環境の影響を大きく受けます。
周りの環境との相互作用により、障害特性は大きく変化すると言われているため、環境からの影響は大きくなります。
そのため、「働きやすい環境」は職場づくりをしていく上で重要な視点となります。
例えば、働きやすい職場にはこんな特徴があります。
■ 物的な環境の工夫
・スケジュールや作業の見通しが具体的に示されている
・視覚的に分かりやすく整理されている
・業務マニュアルや手順書が明確である
・「やってよいこと/いけないこと」がはっきりしている
・気持ちを切り替えるためのスペースがある
・音や光などの刺激に対して柔軟に調整されている
これらは一見すると特別な配慮に見えますが、実際には誰にとっても働きやすい環境でもあるように思います。
■ 人的な環境の工夫
・順序立てて、一つずつ説明する
・肯定的なフィードバックを意識する
・簡潔に、短く、ゆっくり話す
・急かさず、最後まで話を聞く
・一人ひとりの特性を踏まえて関わる
人もまた、環境です。
だれにとってもみんな同じですが、誰と働くかは大切な視点でもあります。
重要なのは「特別な対応」ではなく、丁寧でわかりやすいコミュニケーションなように思います。
「教え方」で結果は大きく変わる
発達障害のある人への指導がうまくいかないとき、実は“教え方”に原因があることも少なくないように思います。
■ よくあるうまくいかない教え方
・教える側が手順を整理できていない
・人によって教え方が違う
・否定的な言葉が多い
・口頭指示が多く、情報量が多すぎる
このような状況では、誰でも混乱してしまいます。
■ わかりやすい教え方のポイント
では、どうすればよいのでしょうか。
ポイントをシンプルにまとめてみました。
・言葉だけでなく、写真や図など「視覚情報」を使う
・教える側が事前に手順を整理しておく
・本人の理解度に合わせて伝える
・静かな環境など、教える場面も工夫する
・情報は一度に詰め込まず、ひとつずつ伝える
・指示は具体的に、必要最小限にする
・できたときはストレートに褒める
特に重要なのは、「一度にたくさん伝えないこと」と「具体的に伝えること」。
情報が多いと混乱をしてしまうため、「情報をコントロール」して伝えていくことがポイントでもあります。
発達障害の理解は「仕組みづくり」
ここまで見ていただくと分かる通り、発達障害のある人への対応は、「気合い」や「根性」ではなく、仕組みと工夫で解決できるものです。
そして、その工夫は結果として、
・ミスの減少
・業務の標準化
・新人教育の効率化
といった形で、職場全体にも良い影響をもたらすようにも思います。
発達障害のある人を理解するということは、特別な人を理解することではなく、「誰もが働きやすくなるための職場づくり」を行うことで理解が深まることもあります。
・環境を整える
・伝え方を工夫する
・一人ひとりを見る
「職場環境」や「教え方」について、ちょっとした工夫が働きやすい職場づくりにつながるように思い、このコラムがなにかの参考になれば幸いです。

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コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

ジョブジョイントおおさかの所長。
障害のある人の就労支援に携わって20年となり、講演実績は150件。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援なども担当してきた。趣味は、散歩、読書、キャンプ、ハイボール。夢の北アルプス登頂を目指してマイペースにトレーニング中。










