【特別コラム】自閉症の人の「強み」に目を向けるということ
自閉症啓発デー、発達障害啓発週間に合わせた特別コラム。
今日は「強み」をテーマに考えてみたいと思います。
自閉症の人の「強み」に焦点を当てて、支援や就労の場面でどう活かせるのかを考えてみたいと思います。
誠実さと、仕事への向き合い方
自閉症のある人の大きな強みのひとつは、「誠実さ」です。
- ルールを守る。
- 決められたことをやりきる。
- ごまかさない。
当たり前のことかもしれませんが、仕事の現場では、この力はとても大きな意味があると思います。
例えば、ある利用者の方は、毎日同じ時間に来所し、同じ手順で準備をし、一つひとつの作業を丁寧に進めていきます。
毎日の繰り返しですが、繰り返す毎日に安定感があり、派手さはないかもしれませんが、ミスはほとんどなく、周囲からの信頼はとても高い。
こうした「安定した誠実さ」は、職場にとって大きな安心につながります。
コツコツ積み重ねる力
もうひとつの強みは、「継続力」です。
- 同じ作業を繰り返すこと。
- コツコツ取り組むこと。
- 毎日同じことを続けること。
これは、多くの人にとって意外と難しいものです。
しかし、自閉症のある人のなかには、この「繰り返し」を苦にせず、むしろ安定して取り組める方がいます。
- 部品の検品
- データ入力
- 清掃作業
こうした仕事では、「正確に」「同じ質で」「継続する」ことが求められます。
つまり、仕事によっては、特性がそのまま強みになる場面があるということです。
細かいことに気づける力
- 小さなズレ。
- わずかな違い。
- いつもと違う変化。
「そんなところまで見るの?」と驚くこともありますが、こうしたものに気づく力は、とても高いことがあります。
例えばですが、これは、品質管理やチェック作業などでは、大きな武器になります。
一方で、刺激が多すぎる環境では疲れやすくなることもあるため、環境調整は欠かせない視点でもあります。
特性を変えることではなく、環境を整えることで細かいことに気づける力は、より一層力を発揮することにつながります。
「こだわり」は、強みに変わる
自閉症や発達障害の人は、特性として「こだわりが強い」と言われることがあります。
こだわりは良い面で使われることもあれば、ネガティブな意味で使われることもあったりします。
でも見方を変えて考えてみます。
・最後までやりきる力
・質を落とさない姿勢
・妥協しない仕事観
このように捉えられることもあるでしょうか。
個人的には、こだわりは強みと捉え、それが活きる職場環境を考えていくことのほうが最善であると思います。
向いている仕事は「特性」で見えてくる
支援のなかで大切なのは、「何ができないか」ではなく、「どんな環境なら力が発揮できるか」を考えることです。
これは、自閉症や発達障害のある人の近くにいる人、周囲の人が少しだけでも考えることで、未来につながることはたくさんあるように思います。
- 静かな環境の方が集中できるのか
- 手順が明確な仕事のほうが安心できるのか
- 一人で進める作業が合っているのか
こうした視点で見ていくと、仕事選びの方向性が見えてきます。
適材適所で配置することもできますし、特性に応じた仕事探し、業務選定もしやすくなるように思います。
「できないことをどう補うか」ではなく、「強みが活きる配置をどうつくるか」が大切なように思います。
さいごに
- 誠実さ・真面目さ
- 継続力・粘り強さ
- 集中力の高さ
- 正確性・丁寧さ
- ルール理解と遵守
- 視覚的理解の強さ
- 興味関心の深さ(専門性)
- パターン認識力
- 感覚の鋭さ
- 論理的に物事を見る力
- 一貫性・安定性
- 素直さ・率直さ
- 記憶力の高さ
- 観察力
- 自分の世界観を持っている
自閉症、発達障害のある人の「強み」を改めて考えると、たくさん挙げることができます。
これ以外にも、まだまだたくさんあるように思います。
「強みが活きる職場」との出会いは、本来の力を発揮することにつながり、いきいきと働くにつながるものと思います。
少し見方を変えるだけで、その人の印象も、可能性も、大きく変わります。
その人が持っている力に目を向けること。
その積み重ねが、よりよい支援や、よりよい職場づくりにつながっていくのだと思います。

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2021年より、世界自閉症啓発デーに合わせた特別コラムを続けています。簡単な説明ではありますが、自閉症・発達障害のことをお伝えしています。
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コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

ジョブジョイントおおさかの所長。
障害のある人の就労支援に携わって20年となり、講演実績は150件。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援なども担当してきた。趣味は、散歩、読書、キャンプ、ハイボール。夢の北アルプス登頂を目指してマイペースにトレーニング中。










