見学・相談会のお申し込みはこちら

【toiro】わからないけれどそこにあるものの話

なんだかメルヘンにも見える今回のタイトルですが、実はわりと真面目なお話です。

 

発達障がい当事者として暮らしていると、様々な方と関わりますし、考え方の違いに驚くことも間々あります。そんなびっくりワードのひとつがこちら。

「(発達障がいの特徴を聞いて)そんな人いるの? 信じられない」

まさかのUMAかオバケ扱い。なんということでしょう。いつの間に私はシーラカンスになったのか。

シーラカンスはともかく、こういうことって、案外よくあることなのかもしれません。

 

人間はそれぞれ自分の体を持っています。目や耳といった感覚器官も当然別々ですし、感じた情報を処理する脳も異なっています。発達障がいの人が体験するあれこれのつまづきを、違う体を持った誰かに完全に経験してもらうには無理があるのです。自分の体が知覚できないもの、ひいては自分で経験できないものは信じないぞ、という主義の方がいるのも、残念ながら自然なことなのでしょう。

だからこそ「自分にはまったくわからないけれど、存在していることは認める」という姿勢って、人間のすごいところなんじゃないかとも考えております。

 

たとえば大抵の人間には赤外線が見えません。ヘビにはわかります。サーモグラフィーの仕組みは、このヘビの体の仕組みを応用してつくられています。

大抵の人間には超音波が聞こえません(中には聞こえる方もいらっしゃいます)。コウモリやイルカにはわかります。漁船や潜水艦に搭載されているソナーもまた、彼らの体の仕組みを応用してつくられています。

 

「自分にはわからないけれど存在するもの」をすべて否定していたら、私たちは今、これらの道具の恩恵にあずかることができていたでしょうか。

 

わからない何かが本当に存在するのかを確認し、たいていの人間にわかる形で表す方法を編み出し、使いこなす方法を模索してきたことは、そのまま人間の発展の歴史とも言えるのです。

 

「わからないけれどそこにあるもの」……発達障がいのことを信じて活動している方は、ジョブジョイントおおさかの職員の皆さんをはじめ、私の身近にたくさんいらっしゃいます。

この記事を最後まで読んでくださったあなたも、そんな勇気ある人のひとりなんじゃないでしょうか。文末になり恐縮ですが、改めて、お礼を申し上げたい次第です。

 

+++++++++++++++++++

コラムtoiroは、
発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。
名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
須藤真理子(Suto Mariko)

発達障がい当事者。地方都市でピアサポートグループの活動を行っています。
当事者の視点から、自分で試してみた情報の共有や周知活動に参加しています。
主な内容は「食生活と発達障がいの関係」「実際に役立った・便利だった二次障がい対処法」「日常生活での気づき」など。
好きなことは、絵を描くこと・物語を書くこと。
「二次障がいでつらいとき、ものづくりにエネルギーを使う」のは、かなり実用的な対処方法だとお伝えしたい次第。