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【toiro】優しさを正しく届けるために

我が家では先日、家族と一緒に母の日を過ごしました。
準備にあたって母に「何をしたら嬉しいですか?」と訊いてみたところ「夕飯の後、皆で一緒にケーキを食べたい」とのお返事を受け取りました。ひとりの時間や流行りのアクセサリーより、身近な人とおしゃべりをする時間が欲しい、とのことでした。

 

早速ケーキに合わせるためのコーヒー豆を準備し始めた私ですが、内心ちょっとドキドキしておりました。
「何かすごく美味しいものを買わないと、お祝いしたことにならないんじゃないか」と思い込んでいたことに、母の言葉を聞いて初めて気がついたからです。
どうやら人によって、おもてなしの方法、ひいては優しさの表し方は異なるようです。それも「自分がしてほしいことは、当然相手もしてほしいことに違いない」という思い込みによって。

 

たとえばLINEの使い方を例に挙げてみましょう。
ある人は「手早く情報交換できるのが大切」「既読マークがつけば読んだことが伝わるしお互いの時間を取らせずに済む」と言います。ある人は「こまめに連絡を取ることが大切」「言葉をかけあう回数や内容が優しい気持ちの証拠」と言います。
この2人が、そうした自分の価値観を説明しあわずに「自分はこれが嬉しいから当然相手もそうしてほしいだろう」と考えたらどうなるか……もめ事になるのは火を見るよりも明らかです。
お互いに思いやる気持ちから行動しているにもかかわらず発生するミスコミュニケーション、こうした行き違いは毎日のように起こっています。

 

この問題解決のために、私たちはどうするのがよいか? 答は簡単「相手に聞く」ことです。
「あなたに喜んでほしくて、おもてなしを考えているんですけれど、私が何をしたら嬉しいですか?」これ以上なくシンプルかつストレートな質問です。
相手によっては「聞かずに察してほしい」とお思いの方もいるかもしれません。ただ、発達障がいの私たちにとって、察する能力はあまりにも高等技術です。他の人と同じレベルを目指したら、練習しているうちに人生が終わってしまうかもしれない。目の前にいる人に「あなたが大切です」と伝える機会さえ失うかもしれない。そう考えたら、たとえ理想通りでなくても、自分にできる最善の方法をとったほうがいい。私はそんなふうに考えています。

 

誰かに喜んでもらうために大切なこと、ついでに(母ではなく)自分が美味しいもの大好きという自覚まで、いろいろと学びになった出来事でした。
もし同じように、誰かをお祝いしようとしてお悩みの方がいらしたら、今回のお話が何かのお役に立てば幸いです。

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。