【toiro】今日の共感は品切れです
「ただ話を聞いて「そうだね」って言ってくれたらいいのに」
「もう一日中聞いていますよ。申し訳ないけど今日の共感は品切れです」
私は先日、こんなやりとりをしました。前者が知人、後者が私です。
ちょっと冷たく聞こえるかもしれません。しかしこれは、私にとって大切な自分の守り方なのです。
まず私は、相手にまるきり感情移入する「感情的な共感」が得意ではありません。
同じ時間を使うなら、ただ話を聞くよりも、問題解決に役立つ情報を探したり元気づけたりするほうが大事だと考えがちです(そちらであれば一緒に考えることもできます)。
さらに問題なのは、辛い話を聞いているうちに自分まで辛くなることがある点です。短時間であれば「自分と相手の気持ちは別のこと」と考え直すこともできますが、長引くとだんだん難しくなってきます。黙って聞き続けていたときには、相手はすっきりした様子の代わり、私がくたびれきってしまった、なんてこともありました。
ではどうするか? 今は、それ以上聞けないときはお断りしています。
私は感情的な共感が苦手ですが、苦手を承知でそうすることもあります。身近な大切な人たちが、話を聞いてほしいといったときです。
私のなけなしの共感は、大切な人のために使えるよう、普段はしまっておこう。頼まれたから使うのではなく、いつどれくらい使うかは自分で決めよう……何度かの失敗を経て、そう考えるようになりました。
もし皆さんが同じようにお悩みなら、話を聞き始める前に「今日は三十分だけ」などと時間を区切って伝えてもいいかもしれません。世の中には、話す自由があるのと同じように、聞く自由だってあるはずですから。
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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。
発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。