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【toiro】猫に学ぶ発達障がい18・ちょっとだけ心配り

私の椅子には猫が寝そべっています。目を細めて遠くを見やる、なんだか物憂げな表情です。ブラシをかけたばかりのやわらかい毛は、母の手で撫でまわされています。顔からしっぽまで、存分にもみくちゃにされながら、猫はじっとしています。

困っていますと顔に書いてある雰囲気ながら、撫でる手には一応つきあう構えの猫。どうしてすぐに逃げないのでしょうか。

 

猫の観察を続けてしばし、この疑問に対して最近、ある傾向を見出すことができました。猫はどうやら、家族のように身近な人間相手なら、ちょっとだけ譲歩することがあるようです。

撫でたい母に撫でることを許したり、手の甲で押し戻されてキッチンから出て行ったり。それでいて、触られたくないときは断固として逃げ出したり、どうしても部屋に入りたいときは扉の前で鳴き続けたりもします。
いつでも命令を聞くわけではありませんが、安心している人間相手なら、気が向く範囲で都合を汲んでくれることもある猫。猫のイメージに語られるほど、いつもわがままだけを通しているわけではないようです。

 

猫のこのバランス感覚は、発達障がいの私たちにも参考になりそうです。身近な人たち、信頼できる人たちにちょっとだけ心を配ることで、お互い快適に過ごすことができるわけです。

あいさつをする、「ありがとう」をたくさん口にする……行動自体はできることからで大丈夫です。心配りそのものを嬉しく思う気持ちは、人間同士にも備わっています。猫がちょっとだけ撫でることを許してくれるおかげで、私たち人間が幸せになるのと同じように。

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。