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【toiro】ウサギの憂鬱を考える

春本番です。スギ花粉と寒暖差の激しい昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

変化の激しい春先、ぼんやりしがちな日もあれば、体の軽い日もあります。ですから私が体調に恵まれた日は、周りの様子に気を配ろうと心に決めております。周りの人が私と同じように、心地よく過ごしているとは限りませんから。

 

なぜそんなことを考えたのか? きっかけはウサギの生態です。

ふわふわと愛くるしい姿が魅力のウサギですが、攻撃に転じるとそうとも言えない様子です。かみつかれたり後足のキックを受けたりすれば、ウサギ同士でも、人間でさえも大きな怪我をすることがあります(動物園のふれあいコーナーで、ウサギにかまれてしまった経験がおありの方もおいでかもしれません)。

一見した印象や、臆病で神経質な性格に注目していると、攻撃するときのウサギには驚かざるをえません。

 

ですが、ウサギの側から見てみるどうでしょうか。

ウサギの「臆病で神経質」は、身を守るための武器です。ウサギが生き残るためには、敵に素早く気づき、走って逃げるのが、一番役立つ方法だからです。

しかし人間と暮らしているウサギには、この武器こそがストレスの一因になることがあります。大きな音や環境の変化といった、周囲の情報を強く受け取るあまり、恐怖や混乱が攻撃の形で表に出てしまうことがあるのです。

では「大きな音や環境の変化」は、具体的にどんな出来事なのか? うっかりリモコンを落とした音だったり、強引に抱き上げようとする動作だったりします。どれも多くの人間にとっては何気ない出来事です。私たち人間が快適に過ごせているとき、感覚の違うウサギにとっては必ずしもそうではないのです。

 

私の快適な今日は、隣のどなたかにとって、ちょっと具合が悪い今日かもしれません。ですから今日の私は、隣のどなたかの様子に、少しだけ気を配ります。いつかの日、私のちょっと具合の悪い日に、同じようにしてもらえたら大変嬉しいですから。

今年の年賀状に印刷された、かわいらしいウサギを拝見しながら、そんなことを考える春の日です。

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。