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第5回実践報告会を終えて

先日、第5回の実践報告会を開催しました。前日は、最強寒波がやってくるということで、前日夕方からの悪天候で京阪神の北エリアはJR西日本を中心に交通機関が麻痺し、翌日の朝は路面凍結で電車やバスが動かないといった、なんとも大変ななかでの開催となりました。

基調講演は、岐阜県にある大湫病院の児童精神科医、関先生にお願いしていて、最強寒波もあって当日の来阪をとても心配していたんですが、前日より宿泊してくださり、予定どおりに開催できたことはとてもありがたかったです。

 

さて、今年の実践報告会も60名ほどの方にご参加いただき、登壇者+スタッフを合わせると100名弱の規模感となりました。去年に続けて今年も対面開催でき、たくさんの参加者の方と一緒に学ぶことができて、個人的には今年も大満足です。

第三部に分けて開催した当日の様子について、特に関先生の基調講演を中心にご報告させていただきます。

第一部:基調講演

基調講演は大湫病院の関先生にご講演していただきました。前半は、社会的動機づけ(他者からの影響を受けて行動がモチベートされること)について、後半はネットやゲームの話から親子関係の話まで幅広いテーマで話をしてくださいました。

1時間の基調講演は、あっという間に終わり、もっともっと聞きたかったのが正直な感想です。後半のネットやゲームの話は、ゲーム好きな先生のバイアスもあってか、ゲームの面白さも解説しながら発達障がいの人たちがどんなふうに遊んでいるかがイメージしやすいお話で、ネットやゲームがご本人にとって「大切な居場所」になっていることを改めて感じました。

「ネット」「ゲーム」に対して、大人が「悪いもの」と勝手に決めつけるのは良くないですね。ゲームの面白さを親子や関係者で共有することは、関係作りの上で大事なプロセスであるように思いました。
(僕も、気をつけないといけないです。)

また、ご講演の中で特に印象に残ったのが「動機」の話。ASDとADHDに分けて簡単に書いておきます。

●ASDの方が好む動機
・「合理的なこと」を好む
・やり方が変わらないこと(常同性)を好む
・自分の納得のいく出来栄えを好む

●ADHDの方が好む動機
・手近な報酬を見つけることが得意
・短期目標が得意
・社会的な動機づけは保たれやすい

特に、ADHDの方は遅延報酬障害があると関先生は仰っていました。そのため、報酬まで時間がかかることで対象物に対する価値や魅力が下がりやすく、報酬を待ちきれずに「手近な報酬」を見つけることが得意になっているとのこと。小さな目標にご褒美を設定したり、途中で声かけや励ましをすることも大切な支援であるとのことでした。

就労支援は、ご本人の気持ちややる気も大事だったりします。ただ、関先生の話では、「できる課題」がきちんと設定されていて、「できることが積み上がる」ことで自信になり、やる気につながるとのこと。「行動→やる気」であることを忘れないようにしたいです。

第二部:実践報告

毎年、3つは実践報告したいと思っていて、今年も以下の内容をご用意しました。

・就職後の余暇支援(OB会)の取り組み
・事務職で働く丸茂さん(株式会社ハンワ)
・清掃スタッフで働く堀さん(株式会社ナリコマエンタープライズ)

就職後の余暇支援は、就職者向けに月一回開催しているOB会の取り組みを中心にご報告。コロナ前に開催していた温泉旅行やキャンプなどがコロナ以降はできずにオンラインとなり、オンラインのメリットとデメリットなども交えながらも、やはり、対面開催の良さを現場で感じていることをお伝えしました。

対面ということでは、昨年末には忘年会を対面開催。当日の写真もお見せしながらOB会での様々な取り組みをお話させていただきました。

また、就職した皆さんにアンケートを実施したので、その結果についてもご報告し、休日は一人で過ごしている人が多いこと、OB会に参加する理由はだれかに会いたいからであることなど、人との繋がりやOB会を居場所と感じている声が多かったことについても、報告させていただきました。

 

残り2つの実践報告では、ご本人お二人からの話となり、ジョブジョイントおおさかを利用していた自立訓練、就労移行支援のころの話から、今の就職先での様子、それに職場の方からのコメント(動画)も紹介し、お二人それぞれが進んでこられた就労までの流れを実践報告という形でお伝えさせてもらいました。

第三部:質疑応答

最後の質疑応答では、登壇した皆さんに壇上へ上がってもらい、会場からの質問を受ける形で進みました。

特に、関先生からは、講演内容に付け加えるように、「興味関心のあることや好きなことはご本人の『原動力』になる」とコメントくださり、自閉症や発達障がいのある人にとって趣味や関心のあること、好むことは日々の生活にとても大切であることを改めて感じた時間でもありました。

来年も開催します

さて、来年はどんな会にしようかと、早速来年に向けての企画を考えていきたいなと思っています。今年も、個人的には大満足な会でしたし、やはり、ご本人の話はとても勉強になります。そういう意味では、来年も、私たちスタッフにとっても勉強できる時間にしたいし、ご本人たちの気持ちや考え方を教えてもらい、ご本人から学ぶことで就労支援をより良いものにしていきたいなと思っています。

 

来年も、もちろん、対面で開催します。

高槻か、茨木か、大阪市内のどこかの会場で、皆さまとまたこうやって会えることを楽しみに、次の実践報告会の開催まで日々の就労支援に邁進していきたいと思います。

ご登壇いただいた関先生、就職したお二人、そして来場してくださった参加者の皆さま、本当にありがとうございました。