【toiro】猫に学ぶ発達障がい17・あなたのことが大好き
猫と一緒に暮らしていると、猫と人間は違う生き物なんだなあと、しみじみ考えることがあります。
猫は人間が相手でも、猫同士のコミュニケーション方法を使って交流しようとします。(大抵の人間は、お気に入りの誰かの手をなめたり、脚に頭をこすりつけてゴロゴロ喉を鳴らしたりはしないはずですから)
その方法は人間の表情や言葉に比べるととても単純です。けれども発達障がい当事者の私にとっては、かえってありがたい点でもあるのです。
私は発達障がいの中でも、特に情緒の発達がゆっくりしている人です。筋道の通ったことは理解できても、言語化されない気持ちを察することについては今も勉強の最中です。ましてや相手の反応を引き出そうとする駆け引きだったり、正しく伝わることが前提の皮肉だったりとなればもうお手上げです。的外れな返事をしてしまいかねません。
私が猫と一緒にいて安心する理由のひとつは、私の未熟な伝え方でも「大好き」を伝えることができる生き物だからかもしれません。
フードを用意する。毛皮にブラシをかける。「あなたが大好き」と話しかける。照れたりごまかしたりしないで、こんなふうに接することのできる誰かがいるのは、とても幸せなことです。猫は猫で、鼻を鳴らしたりあくびをしたりするばかりです……からかったり勘ぐったり「私が好きならおやつを増やしなさい」なんて要求をすることもありません。
猫と人間は違う生き物です。気持ちの伝え方はまるで違っています。人間同士でさえ誤解が生じることはあります。それでも、ポジティブな気持ちを言葉にして伝えることは、たとえ未熟でも続ける意味があると私は考えています。
充分伝わらないときがあるのは承知の上。猫と人間だってうまくやれているんですもの。人間同士だって、なんとかなりそうじゃありませんか。
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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
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不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。
発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。