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【toiro】今は変えられないこと≒個性の芽

私は発達障がい当事者です。それに伴う特徴的な体質もしっかり持っています。

今でも大きな音が苦手で、電車が駅にやってくるたびにそっと耳栓を取り出していたり、絵を描くのが好きな割に人の顔の区別が難しく、ご近所の方とお会いしたときすぐにお名前を呼べなかったりしています。

こうした体質を今すぐ変えるのが難しいのは、皆さまご存じのとおりです。

 

ただ、今の私は、こうも考えています。

「こうした体質のせいで、したいことができないと怒るのは違うかもしれない」

「自分にできること・誰かに喜ばれることを使って生きていくのは、発達障がいであってもなくても同じなのかもしれない」
と。

 

考えてみれば、歴史上のいろいろな発明は「今は変えられないこと」と向き合う過程で生まれてきました。発明とまで言わず、私の「人の顔の区別が難しい」体質に限っても、当てはまるところはあります。なんとかして人間を理解しようと工夫した結果、私は生物学に出会い、他の動物と同じ生き物としての側面から人間のことを考えるようになりました。人間の顔の区別が難しいために、猫の写真を撮ったり、人間のいない風景の絵を描いたりして楽しむようになりました。何年も経ってみれば、積み重ねた行動はどれも私の特徴……「個性」となりつつあります。

 

毎日の暮らしのさまざまなところに、問題は転がっています。私たちはそんな問題を正面から解決したり、他のやり方で対処したり、避けて通ったりします。そうした自分なりの向き合い方の積み重ねが、きっと個性と呼ばれているのです。発達障がいであってもなくても、そこのところは私たちみんな似ています。

だから今、自分の体質にお疲れだとしても、どうかご心配ばかりなさいませんよう。ひと休みしたら、自分のやり方で、また向き合うことができますとも。

 

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。