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【toiro】毒のないフグは美味しくない?

めっきりと冷え込んできた昨今、フグの美味しい季節です。こうした毒がある生き物について聞くと、私は最近、謎の親近感を覚えることがあります。特に体調の悪いときなんかはこうも考えます……私たちの発達障がい特性も、フグの毒のように切って取り除いたり、はたまた最初から綺麗になくしたりすることはできないものか、と。

 

ところでこのフグ「あんまり美味しくなかった」というご意見も聞き及びます。フグの種類は同じでも、食べたときと場所によっては、味が違うというのです。

原因のひとつに、毒の有無があります。毒を持たないよう育てられたフグは、しかし味まで落ちてしまうというのです。いったいどうしたことでしょう?

 

養殖のフグは、餌や環境を管理することで、体内に蓄積される毒をなくすことができます。人間にとってはいいことずくめのようですが、そう都合よくいかないのは、先ほどお伝えしたとおり。この毒なしフグ、ストレスに極端に弱くなってしまうのです。

毒を持たないフグは、自分を守る武器を持たない状態です。丸腰のフグは、不安を感じやすくなったり攻撃的になったり、体まで小さくなったりします。それらがどう作用したものか、天然の有毒のフグと比べて、肝心の味までもが落ちてしまうのです。[1]

 

私たちの発達障がい特性も、丸ごと取り除こうとするのは、ちょっと待ったほうがいいのかもしれません。

発達障がいの特性は、脳の働き方の違いによって生まれるとされています。特性をなくすために脳みそ全部を作り変えるとしたら、どこに影響が出るかわかったものではありません。

それに、私たちにとって大切なことは「自分も周りの人も一緒に、幸せに毎日を生きること」です。私たちが困ったこと・上手くいったこと、試行錯誤の体験を、他の誰かにも活用してもらえたら……発達障がい自体をなくすよりも簡単に、そして確実に、問題解決に役立てそうじゃありませんか。

参考:
[1] 毒がフグのストレス軽減 毒なしフグは攻撃的で、美味しくない=研究,
https://sputniknews.jp/20191112/6830418.html,
2019年11月12日更新

 

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。