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【toiro】猫に学ぶ発達障がい15・Noも言える人

我が家の猫は暴れん坊です。

爪先にじゃれついたかと思えば、前足で抱え込んで後ろ足で猛烈な猫キック。すねや太ももで爪とぎをしては、新品のジーンズをもれなくダメージ入りに作り変えていくおまけつき。猫にとって私は「ちょっかいを出してもいい人間」に見えているのでしょうか。

 

しばらくの観察の結果、思わぬ原因がわかりました。

猫は父の脚には爪とぎをしようとしません。母は猫が足元にやってくると、素早く捕まえては自分のペースに持ち込んでなでています(今回の写真はまさにその瞬間、母に捕まってなでられているときの猫です)。

猫が爪とぎをしにくることがあり、かつ、されるがままになっているのは私だけでした。

つまりこういうことです……「やめてほしい」というメッセージを、私はそもそも充分に発信できていなかったのです!

 

「いいえ」「違います」「お断りします」……私たちの暮らしにおいて、ときに言いづらく感じる言葉です。はっきり言えずに遠回しになってしまい、結果うまく伝えられずに、余計にもやもやが募ることもおありかもしれません。

けれども考えてみれば、私たちには相手の気持ちを直接作り変えることはできません。できるとしたら自分の気持ちを伝えることです。礼儀を守って丁寧に、自分の気持ちを伝えたら、あとは相手の返事を待つだけです。

私は猫がかわいいあまり、そんな基本的なことを、すっかり忘れてしまっておりました。

 

先日、猫がジーンズに爪を立てたとき、手の甲でそっと押し返してみました。猫はあっさり離れて、段ボールの爪とぎに向かっていきました。

いざNoと言ってみれば、取り越し苦労だったと思える場面は、案外多いのかもしれません。

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。