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【toiro】君は君・私は私・そして仲良し

今回の題名、実は元となった言葉があります。もうお気づきの方もおいでかもしれませんね。

“君は君 我は我也(なり) されど仲よき”

小説や詩で名を知られる、武者小路実篤さんの記した言葉です。発達障がいの私たちが人間関係を考えるとしたら、このひとことを意識するだけで充分かもしれません。

 

「あなたはあなた、私は私」

こう言おうと思ったら、お互いに「私」を持っている必要があります。私たちはまずそこから始めることになるかもしれません。「私」がどんな人なのか、何が好きで何が苦手か、どんな体質をしているのか……充分に知っていて説明できる必要があるからです。

その次に「あなたはあなた、私は私」。ようやく見つけた「私」を、しかし押しつけすぎたり引っ込めすぎたりはしていません。ちょうどよくお互いを尊重しています。

そして最後に「けれども仲がよい」。一番大切なのは、最後のこの言葉なのかもしれません。

 

「あなたはあなた、私は私」

発達障がいの私たちは、特に個人差が大きい傾向があります。暑さに極端に弱い人もいれば、満員電車でふらふらになってしまう人もいます。真冬の寒ささえ感じづらい人もいれば、食べ物の味の違いがわかりづらい人もいます。

一緒に過ごして楽しみを共有しようとすると、様々な工夫が必要になるでしょう。それでも私たちは、なんとか方法を考えようとするのではないでしょうか。

なぜって私たちには、ままならない「私」の体質に取り組んできた経験があります。それは「あなた」の試行錯誤にも「私」自身へと同じように、敬意を払えるということですから。

 

「あなたはあなた、私は私」

このあとに「そして仲良し」と続けることが得意なのは、案外私たち少数派なのかもしれませんよ。

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。