【toiro】猫に学ぶ発達障がい9・自分の大切なことを知っている
猫はどれくらい、私たち人間のことを理解しているのでしょうか。
人間における3歳くらいの知能を持っているという意見もあります。それにしては、こっちの都合をまったく無視してくれることも多いのですが……そうした様子を見ていると、ふと考えることがあります。
「発達障がい当事者であるところの私も、周りから見たら、こんなふうなのかな?」と。
確かに猫は、人間の都合を忘れてしまうこともたくさんあります。その一方で「猫にとって大切なこと」は、ちゃんと覚えていて、あきらめず実践しつづけているのです。
実例をお話ししましょう。
我が家の猫は最近、新しい寝床を開拓しました。その名も「キッチンワゴンの隙間」です!
気がつけば、予備のふきんや袋入りラーメンの傍で、丸くなって寝息を立てる猫の姿。かごで爪をとぎ、洗いたてのふきんに抜け毛を散らかし、しまいにはラーメンの外袋をかじり始める始末。いくらどけても、いつのまにかもぐり込んでいる有様です。
2週間が経ったころには、キッチンワゴンから食べ物の類は撤去され、代わりに猫用のタオルが持ち込まれることとなりました。
私からするとこう考えます……「冷蔵庫の上にも椅子の上にも、寝床用のかごがある。机の上にはふわふわの猫用ベッドもある。これ以上いったい何が必要だって言うんだい?」
しかし猫には猫の言い分があるわけです……「寝床はいくらあってもいいよね、寝たいときに寝られるもの」という具合に。そして猫にとって、気持ちよく眠ることは、とても大切なことなのです。
私たち発達障がい当事者は、猫と同じというわけにはいきません。人間ですから、自分の大切なことについて、皆に説明する必要がしばしば出てきます。
私たちの大切なことは、ときに多くの人にとって「ささいなこと」かもしれません。それでも、どうしても譲れないことであれば、伝え続けてみる価値はあるでしょう。時間をかけて、丁寧に。
私たちは単に「自分の大切なことを知っている」のです。皆の都合を理解していないために、こだわりを主張しているのとは違うわけですからね。
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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。