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【toiro】「猫に学ぶ発達障がい7・代替行動のすすめ」

代替行動をご存じでしょうか。その名の通り「生活するうえで問題になる不適切な行動に対して、同じ役割を持つ適切な行動のこと」。ストレス解消を目的にやけ食いするのをやめて、代わりに音楽を聴くようなことです。発達障がいについて学んでおいでなら、ご存じの方も多いかもしれませんね。

今回は、猫がこの代替行動を覚えた事例をご紹介します。

 

我が家の猫には噛み癖がありました。子猫のうちになんとかやめさせようとしたのですが、うまくいかないまま、満2歳の大きなオス猫に成長してしまいました。

興奮すると、子猫のときと同じ本気の噛みつきを、大人の猫の力でやるものですから大変です。牙はさながらナイフのよう、すったもんだの過程において、私の脚には流血沙汰の傷跡が合計3か所残る始末。これ以上誰かを噛む前にと、我が家では根本的な解決に乗り出しました。

「噛みつくのをやめてほしい」と猫に説明するために、私は行動で伝えることにしました。つまり「噛んだらちょっと嫌なことが起こる」と覚えてもらうことにしたのです。
試行錯誤ののち、用意したのは水の入った霧吹き。猫が唸り声をあげたり、噛みついてきたりしたときには、すかさず猫の顔に向かってひと吹きします。叩いたり叱ったりしても猫には絶対に通じませんから「無害かつ、猫にとってはちょっと嫌なこと」を、代わりに経験してもらったわけです。

こうして猫が飛びかかってくるたび、私は黙って霧吹きを向ける作業を繰り返していました。

 

そして2ヶ月後。噛みつく代わりに、私の向こうずねへと執拗にパンチを繰り返す猫の姿がありました。私に興奮を伝えるために、パンチという「人間と猫がお互いに許容できる方法」を、猫は覚えたわけです。

代替行動を覚えるのが人間の場合、話はもっと簡単かもしれません。「こうしたらいいことが起こるよ」と言葉で説明するなど、猫に対するよりもたくさんの方法を考えられるわけですから。

 

ともあれ、我が家の猫の噛み癖が無事解決したこの事例。身近な誰かの不適切な行動に困っているとき、諦める前にできることはたくさんあるようですよ……と、私に教えてくれる出来事でした。

 

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コラムtoiroは、
発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。
名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
須藤真理子(Suto Mariko)

発達障がい当事者。地方都市でピアサポートグループの活動を行っています。
当事者の視点から、自分で試してみた情報の共有や周知活動に参加しています。
主な内容は「食生活と発達障がいの関係」「実際に役立った・便利だった二次障がい対処法」「日常生活での気づき」など。
好きなことは、絵を描くこと・物語を書くこと。
「二次障がいでつらいとき、ものづくりにエネルギーを使う」のは、かなり実用的な対処方法だとお伝えしたい次第。