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【特別コラム】感覚面の特性

この特別コラムは、世界自閉症啓発デーに合わせて毎日配信するコラム。
簡単な説明ではありますが、自閉症・発達障がいのことをお伝えしていきます。
詳しくはこちら。

 

みなさんの周りに、こんな人はいらっしゃいませんか?

  • みんなで盛り上がっている時に、一人耳をふさいでいる人
  • 蛍光灯のチカチカや、まぶしい光が苦手な人
  • 冬の寒い日に、半袖Tシャツや半ズボンで歩いている人
  • 気温や気圧の変化で体調を崩してしまう人
  • 体に触れられるのを極端に嫌がる人
  • 服の内側のタグがチクチクと肌に触れるのが耐えられないという人、など…

 

これらは自閉症の人によくあるエピソードです。最近は自閉症の診断基準の要素の一つに、感覚過敏や鈍麻の項目が加わったことで注目されるようになりましたが、自閉症の人の感覚刺激に対する特異性は、ずっと以前から指摘されていました。 

自閉症の人の感覚の特性には、「感覚過敏」「感覚鈍麻」「感覚探究」などがあります。「感覚過敏」は、五感(聴覚 視覚 臭覚 味覚 触覚)の一部が過剰に反応することです。「感覚鈍麻」は、感覚が鈍く反応が弱いことをいいます。

なお、鈍麻の方は、異常に気づかず大事に至ることもありますので注意が必要です。これらの感覚過敏や感覚鈍麻は、自閉症だけでなく他の障がいでも多くみられる症状で、「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼ばれる、「感受性が強くて敏感な気質を持った人」の中にも、この感覚の問題で苦しんでいる人たちが多いようです。

 

そんな中で、自閉症の人に見られる特徴的なものが「感覚探究」です。ずっと身体を揺らしたり、手をひらひらさせたり、飛び跳ねたりする人もいます。お気に入りの肌触りの物をずっと触っていたり、何かに没頭している…そんな感じでしょうか。おそらくご本人にとっては、その行動で気持ちが落ち着いたり、安心できたりするのでしょう。

感覚の問題は、生まれつきのものであり、自分の意志で変えることはできません。また、個々の感覚は他人にはわかりませんので、自分だけで抱え込まず、周囲にヘルプを求めることが大切です。ご本人たちの中には、イヤマフ(耳栓)をしたり、サングラスをかけたり、いろいろ工夫をしながら生活されている方もいます。

 

大切なことは、周りの人たちがその人たちの行動の意味を知ることです。一見、おかしく見える行動にも理由があるということがわかれば、理解が進み、みんなが安心して過ごせるような社会に、一歩一歩近づいていくのではないでしょうか。