資料請求 見学・相談会申込 お問い合わせ

「先輩のハナシ+企業実習報告会」のご報告

9月28日、
高槻現代劇場にて行われたのは「先輩のハナシ+企業実習報告会」。

表題の先輩とは、ジョブジョイントおおさかを通じて企業実習を行い、就職していった皆さんのことです。ここで学ばずいつ学ぶのか。客席に着くジョブジョイントおおさかの利用者さんたち、そしてご家族の後ろ姿にも、なにやら意気込みが感じられます。

最初に、スタッフさんによる開会挨拶。手元の資料を通じて本日のスケジュールが紹介されます。二人の先輩の企業実習報告、十分の休憩をはさんで、スタッフさんより「実習先企業」の情報を公開。さらに二人の報告を加えて、合計四名の先輩からお話を聞く運びとなっています。最後にはジョブジョイントおおさか所長の星明さんからの一言で締めくくり。こうして勉強会に近い様子で「先輩のハナシ」がスタートします。

  

一人目はAさん。二ヵ所の実習先の様子を、それぞれ紹介されています。お客様に提供する商品の制作に緊張し、相手への話しかけ方を考えるようになった、意識の変化が話題にのぼります。

二人目・Bさん。学びたいことを明確にして実習に臨みます。休憩するタイミングの大切さ、製作業では手にマメができてしまったこと……実際に働いたからこそわかる体験を主に伝えます。

  

三人目・Cさんは、会社でもらった業務マニュアルをもとに自分専用のマニュアルを作成。自分の特性を理解したうえで。ないものは自分で作り、苦手な業務について交渉し、働き続けるための工夫を凝らします。

そして四人目・Dさん。「得意なのは宣伝文句などの文書の作成です」との自己紹介が納得できる明るい語り口です。イレギュラーが毎日だという職場になじむようすを、楽しく話してくださいました。

各会社の業務内容、働く上での工夫、お世話になった上司の方のこと。静かに聞き入る場面が多かった報告会のなか、反響の大きかったのが質問コーナーでした。発表の合間の休憩時間、客席に配られたアンケートを通して、先輩たちへ質問が届きます。

  

「Q. 実習先の職場には、早く馴染むことができましたか?」
「A. 僕は早く慣れたと思います。今回は大好きな神戸で働くことができたというのも理由のひとつです。僕にとって働く場所は大事です」

直接人と関わる売り場では、予想外の出来事も起こりやすいようです。

「Q. スポーツ用品店でのお仕事中、英語で話しかけられたことはありますか?」
「A. 直接の会話はありませんでした。外国の方から「おつかれさま」と声をかけられたことはあります」

なかには客席から笑い声の起こるお返事も。

「Q. ポップコーン販売店での実習では、甘い香りが強かったとのことですが、気分は悪くなったりしませんでしたか?」
「A. 僕は大丈夫でした。いい香りでおなかが空いてしまって、お昼にはお弁当をたくさん食べました」

 いずれの質問においても「自分は何を大切にしているか」がポイントとなっています。

「Q. 働く上での決め手は?」
「A. 一つ目はマイペースに働けること。二つ目は業務内容と上司の方。ついていきたいと思える上司に出会えたことが理由になりました」

自分にとって大切なものを明らかにすること……それぞれ特性を抱える利用者さんたちにとって、就職を考える上での、具体例になる回答でした。

発表と質問が行きかう中、いくつもの話題のなかには、少し繊細なものもありました。

ふだん使っている補聴器を見せながら、勤務先「社会福祉法人 ノーマライゼーション協会 ハニカム」のことを話してくださったDさんは、就職活動中のことをこう振り返ります。

「就職という高い壁が立ちふさがっているような気持ちでした。社会に憎まれているのではないか? 難聴というハンデはどうなるだろう? と不安になったこともあります。縁あってハニカムに就職したときは、長い旅が終わったと感じました」

本人がこれだけ不安なのだから、身近な人も同じこと。家族を含め近しい人たちも、手助けをする一方で、不安を覚えることがあります。そのことを就職活動中の利用者さんたちも、きちんと理解しています。

「母から「ほんとうに就職できるの?」と聞かれたことがあります。今頑張ってる途中だから見守ってて、と答えました」

客席で、何人かの利用者さんが頷いていらっしゃいました。一方で、家族との関係について、Cさんからはこんな意見も。

「家族に就職の相談すると、かえってプレッシャーを感じるときがあります。ジョブジョイントおおさかのスタッフさんや、ハローワークの相談員さんのほうが、冷静に聞いてもらえるときも。そういうときは一時的に、家族とは距離を置くこともあります。本人が実際に行動できているのなら、あまり追い詰めないであげてほしいです」

大切なものが人それぞれであるように、問題への対処方法もまた人それぞれ。困難を感じることであって自分のこととして向き合おうとする、頼もしい明るさを、どの先輩からも感じることができました。

最後に、星明さんからのごあいさつから、印象に残った言葉を紹介します。

「発表を聞いていて、皆さんがそれぞれの会社の一員になったという印象を受けました。会社のことを、自分の参加する活動として話していらっしゃって、もう会社の中で活動している社員のひとりなのだと実感しました」

就職は壁になることも、旅の終わりになることもあります。一方で先輩たちにとっては、自分の居場所になっているようです。先輩に勇気と心構えを学び、役立てる場所をそれぞれ探して、ジョブジョイントおおさか利用者さんたちの挑戦は今日も続いています。

( JJおおさか 広報スタッフ )