【toiro】猫に学ぶ発達障害30・もしもの世界
先日のことです。諸事情で急な休暇ができた週半ば、私は猫にブラシをかけながら、ぼんやりと考え事をしておりました。
もし持病がなければ、もっと働き続けられたかもしれない。今よりお金を稼いだり遠くへ出かけたりする機会もあったかもしれない。毎日の暮らしはより快適だったかもしれない……
そのあたりで突然ブラシを持つ手が痛んで、私は現実に引き戻されました。
猫が鼻にしわを寄せて私の手に噛み付いていました。ブラシがおろそかになっていたのが不満だったのでしょう。
白昼夢から覚めて、私は再び考え始めました。「もしもの世界」は単純に私たちの考え方の問題ではないか、ということです。つまり「もしもの世界」を想像しているときの私たちは「今は起こっていないこと」「良いこと」ばかり考えていると思われるのです。
たとえば希望通りの完全な健康体だったら、私はどんな人物だったでしょうか。良いことも悪いことも公平に想像しようとすると途端に難しく感じられます。
他者の辛さを理解する余地はあったでしょうか。丈夫さにかまけて仕事に没頭した結果、体を壊す危険は? どの場所で誰と出会い、どんな体験をするか。果たしてすべてが順調に進むのでしょうか。そのときの私には、大好きな猫の世話に費やす時間があるのでしょうか。
あるいは今幸せだから、こんな「もしもの世界」を考えるのかもしれません。しかし、だとしたら余計にもったいないことです。ぼんやりと考える時間があるなら、今の幸せを満喫するために使ったほうが良いはずですから。
腕の中からゴロゴロ音が聞こえます。猫は丸くなって眠り始めています。
私も猫にならい、この貴重な休暇を、今の幸せを広げるために使うのがよさそうです。

+++++++++++++++++++
コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

発達障害当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障害に関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障害への対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障害とのつきあい方」などの記事を作成しています。










