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【toiro】実録発達障がい13・人と話すのが平気になったわけ

ときに皆さま、誰かとお話しすることは平気でしょうか。
この質問には、とても残念そうに「いいえ」と返ってくることがあります。その気持ちはわかるつもりです。私自身、会話にとてつもなく苦労していた時期がありましたから。

いったいなんだって、誰かと話そうとするだけで、あんなにも気をもんでしまうのでしょう。得意とは言わないまでも、もう少し平常心で話をする方法はないものでしょうか。
そんなふうに考えていた私が、ある程度人と話すのが平気になったのは「交渉する」という考え方を知ってからです。

会話が苦手だったころ、私は会話のことを「勝つか負けるか」どちらかしかないと思い込んでいました。自分の主張を理屈や大きな声で押し通すか、言い負かされて相手の主張を全面的に受け入れるか、しかないのだと。
緊張もするはずです。この考え方では、会話する相手はいつも敵みたいなものですから。

「交渉する」考え方はそうではありません。お互いの希望は何か、を明らかにして、希望を両立する方法を一緒に考え、提案し合う作業です。理屈も大声も不要です。
この場合「一度で話が決まること」は、実はそんなに重要ではありません。お互いの納得の上で利益が成り立つよう意見を出し合える……「この人には自分の希望を伝えても大丈夫」と思える関係ができていることのほうが大切です。こうしたよい関係ができていて初めて「会話すること自体を楽しむ」状況も考えられるわけです。

私は誤解に気がついて「会話=交渉すること」だと考えたころから、誰かと話すことが平気になってきました。もし同じようにお困りの方がいらしたら、考え方を振り返るきっかけになれば幸いです。

 

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。