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【toiro】実録発達障がい6・読んでそのまま「しゃれにならない」

ときに皆さま、ジョークはお好きでしょうか。実は私、好きかどうかの前に、ジョークに気づけないことがあります。テレビ番組を前に、心の準備をして聞くときならまだしも、日常生活の中で投げかけられたときには、見落としてしまうことが間々あるようです。最近そんな経験をしたときの会話がこちら。

 

お客さん:(自宅玄関先で)初めまして、佐元さん。私、〇〇社のAと申します
私:初めまして。本日はよろしくお願いいたします。

 

……これだけだとなんてことのない場面に見えます。

ではここからは種明かし。私が「初めてお会いする方」だと判断したAさん、れっきとした知り合いだったのです! 私の相貌失認(人を顔で区別するのが難しい特性)の影響で、お顔と名前をすぐに一致させることができなかったのが、今回の出来事の原因でした。

後日Aさんがおっしゃるには「ちょっとしたいたずら心が湧いた」とのこと。さも初対面のような、かしこまったふるまいをしたら「またそんなこと言って」とでも突っ込んでくれるんじゃないかな? と考えたんだそうです。残念ながら実際には、私の相貌失認に阻まれて、期待通りのやりとりにはならなかったのですが。

 

Aさんには、悪気はなかったことの説明と、改めて私の相貌失認のことをお伝えした今回の出来事。前触れのないジョークが通じ合うためには、お互いが同じ背景を共有していることが必要なのだと痛感いたしました。

では私たち発達障がい当事者にジョークは楽しめないのかって? そういうわけでもなさそうです。このお話を聞いた方は、ありがたいことに大抵笑ってくださるようですから……「あなたの毎日の出来事自体が、ちょっとしたジョークみたい」と言って。

 

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。