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【toiro】体質と向き合うための「回送中」

今年も梅雨の時期がやってきました。湿気と低気圧の多いこの季節、発達障がいおよびHSP(Highly Sensitive Person:感覚がとても敏感な方々)の皆様はいかがお過ごしでしょうか。

数十年前に比べれば、目に見えづらいこうした体質への配慮も、かなり進んできた世の中です。それでもお休みや休憩をいただくとき、気後れしてしまうことはありますよね。

私たちは、周りの人に伝えるとき、どんな心づもりでいたらいいのでしょうか。

 

こんなふうにへこみそうになるとき、私はこう考えることにしています。

「私は今「回送中」です」と。

 

回送とは、乗り物を空っぽのまま他の場所に移動させている状態のことを指します。バスや電車の電光掲示板に表示されているのを、ご覧になったことのある方もおいででしょう。英語の「out of service」の意味そのまま、この回送中は、お客さんは乗ることができません。

私たちにとっては単に「今は乗れないんだな」という目印かもしれません。しかし運営している会社の方から見ると、わざわざ乗り物を空にして動かす事情がいくつかあります。車内を掃除してからお客さんに乗車してもらうため。普段と違うルートを通って、素早く所定の駅に戻るため。自由に動ける乗務員さんと車の数に余裕を持たせ、遅れが発生したときに素早く回復できるようにするため……。

 

これを聞いたとき、私はあっと思いました。乗るお客さんがなく、一見もったいないように見える回送は、必要があって存在しているということです。

もしかしたらお客さんは「バスや電車の姿が見えたらすぐに乗りたい」と考えるかもしれません。ただしそれには「綺麗な車内で・安全に・遅れずに」という希望が必ずつくはずです。回送はそのための時間です。全体の環境を整えるという意味で、回送中の乗り物は、れっきとしたお仕事中なのです。

 

今は回送中、よく働くための準備中……という気持ちで、私たちは自分の体調のことを、周りの人に伝えてもいいかもしれません。そして短い時間で効率よく働ける仕組み、引継をしやすい仕組みを考えてみるのはどうでしょう。少なくとも、自分を責めて過ごすより、余程よいお休みになるに違いありませんから。

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
須藤真理子(Suto Mariko)

発達障がい当事者。地方都市でピアサポートグループの活動を行っています。
当事者の視点から、自分で試してみた情報の共有や周知活動に参加しています。
主な内容は「食生活と発達障がいの関係」「実際に役立った・便利だった二次障がい対処法」「日常生活での気づき」など。
好きなことは、絵を描くこと・物語を書くこと。
「二次障がいでつらいとき、ものづくりにエネルギーを使う」のは、かなり実用的な対処方法だとお伝えしたい次第。