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【toiro】いつもとちがう春 ~コロナウイルスに気付かされたこと~

電車の窓から見える今年の桜が、なんだか少し淋しそうに感じてしまうのは私だけでしょうか。薄ピンク色の花をいっぱいつけて美しく咲き誇っている姿はいつもと何も変わらないのに…

コロナウイルス感染予防のために、今年は桜の楽しみ方をはじめ、長い学校の春休み、無観客試合やオリンピックの延期、臨時休業、営業時間の短縮、webを使った就活など…数えたらきりがないほど、私たちはいろんな「突然の変更」を強いられています。

これらは、感染を広げないための必要な措置であり、賢い人間の知恵であることはわかっているものの、「いつもとちがう」ということは、何となく心がざわざわするような、すっきりとしない感情を抱いてしまうものですね。「突然の変更」が苦手な自閉症の人たちは、いつもこんな気持ちを、いやもっと強いのかもしれないけれど…感じているんだなあと今回の経験を通して少しわかったような気がしています。

もう一つ同じようにわかったことがあります。それは「先が見えないことへの不安」です。見えないことや将来のことをイメージしたりするのは、多くの自閉症の人たちにとっては苦手なことですね。いつも不安を抱えている彼らに対して、今回のこのコロナウイルスの先の見通しがつかない、終わりが見えないことへの不安がいかに大きな影響を与えているかを想像することができます。WHOのパンデミック宣言もあり、ここ数か月私たちも毎日どうしようもない不安を抱えながら過ごしています。不安を抱えたままの状態がずっと続くということがこんなにもしんどいということをあらためて痛感しています。

私たちが生まれるずっと前の時代からパンデミックは何度か起こっていますが、必ず収束しています。コロナウイルスもワクチンが開発されれば徐々に感染数も減っていくでしょう。でも、完全になくなることはありません。インフルエンザと人間が適度な距離を保ちつつ共存しているのと同じように、いつかはコロナとも共存していくことになるのでしょう。

毎日の報道に不安は募るばかりですが、今のこの状態がずっと続くわけではないこと、一週間やそこらでは無理だとしても、その時は必ず来るということを心に留めておきたいですね。

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がいのある二人の成人の母+就労支援事業所の支援員。
2人を育てた経験を活かし、自閉症スペクトラム支援士、ペアレント・メンターとしても活躍中。
最近は、ドラマを見ながら眠ってしまって結末が見れない母のために、それを見越して、そっと録画予約をしておいてくれる優しい息子と娘に感謝する毎日です。