【toiro】信頼の話
先日、信用と信頼の違いについて調べる機会がありました。
かいつまむと、信用は「過去の実績や行動に基づいて信じること」信頼は「価値観や人柄を踏まえてこれからの結果に期待すること」を指すようです。
日常生活の中での人間関係に当てはめてみると、信用を積み重ねた上に信頼ができていくと考えてよさそうです。
だとすると不思議に思うことがあります。子どものころの私たちは、どうやって信じてもらったのでしょう?
生まれたての赤ん坊や子どもは一人で生きられません。「この子は育てる意味がある」と信用されるに足る過去もありません。もし信用が過去にのみ基づき、信頼が信用の積み重ねにのみよるものなら、誰も大人になれないことになってしまいます。
しばらく考えてみたのですが、これについては「価値観も人柄もさっぱりわからない子どものことを、先に信頼してくれた人たちがいた」というほかありません。
「何をされるかわからない」「もちろん不安もある」「でも最初はこちらから信じてみよう」……そう決めて、先に信頼を分けてくれた人たちがいたから、私たちは自分で考えることができるくらいにまで育つことができたわけです。
私たち発達障害当事者は、他の多くの人と違ったり極端だったりする特徴を示すことがあります。今の私も、根拠のない信頼……言い換えれば期待を寄せてくれた人たちが最初に想像していたのとはずいぶん違う形に成長しました。 それでも、先に信頼を分けてくれた誰かには、折にふれて感謝を伝えたい心づもりでいます。願わくばこの先、自分もそうあれますようにとのお祈りも込めて。

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コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
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不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

発達障害当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障害に関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障害への対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障害とのつきあい方」などの記事を作成しています。









