【toiro】実録発達障害28・雨の日と玉ねぎ
「頼まれていないこともできるようになったんだねえ」。
お夕飯の後、母がしみじみと言った言葉です。
何のことかとよく聞いてみると、母はメッセージアプリの家族用グループを見せてくれました。それで私も思い出しました。
週末の午後のことです。屋根を踏み鳴らすような音がして、急に雨が降ってきました。暑い曇り空の日に多い、夕立のような激しい雨です。
家じゅうの窓を閉めて回っているとき、庭に干してある玉ねぎに気がつきました。長期保存に備えて乾かすための玉ねぎです。このままでは傷んでしまうでしょう。
私は玉ねぎを中に持って入りました。濡れてしまったぶんを拭くついでに、父宛に玉ねぎを移動した旨のメッセージを送りました。
母が話していたのはこのことだったようです。
誰かがしてほしいことを推測して的中させるのは、なかなか難しいことのように思います。自分の用事に一生懸命なことが多い私たち発達障害の人はなおさらです。
それでも、慣れ親しんだ環境であれば的中率を上げることもできるのだと、今回の出来事で思い至りました。思いがけない感謝をもらえるのは、想像以上に嬉しいことだということも。
今後も折を見て「頼まれていないご用」に挑戦してみたく存じます。
最後にひとつだけ、私のやらかしを踏まえた体験から。
「頼まれていないご用」に挑戦するとき「見当違いのことをしてしまっても大した問題にならない環境」はとても大切です。
そう考えると、お仕事の場面で急に挑戦するのは危険かもしれません。まずは家の中のことや、お世話になっている支援団体の方に「(頼まれていないけれど)これをしてもよいですか?」と訊ねてみるところから始めるのが安全と存じます。

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コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
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不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

発達障害当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障害に関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障害への対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障害とのつきあい方」などの記事を作成しています。









