【特別コラム】大学生と発達障害~高校とは違うスタイルに少しずつ合わせていく~
高校から大学へ進学すると、「高校と全然違う…」と感じることがたくさん出てきます。特に、発達障害のある方やそのご家族にとっては、大学の自由さが分かりにくさにもなっていて、負担になっていることもあるかと思います。
高校では、毎日同じ時間に登校し、同じ教室で授業を受け、先生が教室まで来てくれます。でも、大学は高校とは違って、自分で授業を選び、時間割を組んで履修登録をして、決まった教室に時間までに自分で行く必要があります。出席の取り方も授業によって違ったり、レポートやテスト、ゼミなども自分から動いて対応する必要があります。
「自分から動く」「臨機応変に対応する」といったことは、発達障害の特性からすると少しハードルが高いことも多いかと思います。これも、前回のコラムで触れた「想像力の特性」が影響しています。「大学に入ってから困りごとが増えた」という声は学生さんやご家族からお聞きすることは多いように思います。
「経験から学ぶ」
「定期的に相談する」
「配慮と理解がある環境で学ぶ」
発達障害のある方は、これらの環境だと力を発揮しやすく、ここが大学生活をうまく進めるためのポイントでもあります。学生相談室などを活用して定期的に話を聞いてもらったり、ゼミの先生や授業の担当の先生に事前に相談して配慮をお願いしたりすることで、少しずつ過ごしやすくなっていくこともあるかと思います。
最初からすべてを完璧にやるということではなく、スモールステップによる「できた!」を積み重ねていくことが大切なようにように思います。少しずつでも成功体験を増やしていくと、自信や安心感にもつながり、新しい環境や高校とは違う環境にも適応しやすくなるかと思います。
大学生活は自由である分、自分に合ったスタイルを見つけるよい機会でもあります。焦らず、自分のペースで、そして必要なときは周りを頼りながら、大学生活に進めていってほしいなと思います。

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2021年より、世界自閉症啓発デーに合わせた特別コラムを続けています。簡単な説明ではありますが、自閉症・発達障害のことをお伝えしています。
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コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。


ジョブジョイントおおさかの所長。
障害のある人の就労支援に携わって20年となり、講演実績は150件。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援なども担当してきた。趣味は、散歩、読書、キャンプ、ハイボール。夢の北アルプス登頂を目指してマイペースにトレーニング中。