定期的に相談することの大切さ~コツと実践について~
就職活動や将来のことを考えると、見通しが持ちにくいこともあって不安や心配になることはあるかと思います。特に発達障害のある方や学生さんにとっては、将来のことがイメージしづらいのもあってどこから手をつければいいのか迷うこともあるかと思います。
学生さんの場合だと、「卒業までに内定をもらわないと」と焦る気持ちが強くなり、余計に不安を抱えてしまうこともあるように思います。
大切なのは「相談」です。相談することで、今の気持ちを整理したり、次のステップを考えたりするきっかけになり、一人で悩むよりも、誰かに話すことで解決策が見えてくることも多かったりします。
今回のtoiroは、「相談」がテーマです。
相談相手を見つける
相談の第一歩は「相談相手を見つけること」。自分に合った相談相手を見つけることで、定期的な相談につながっていきます。
例えば、学生さんの場合は以下のような相談先があるかと思います。
・大学の学生相談室やキャリアセンター
・ゼミの先生や授業の先生
・クリニックの主治医や心理士、相談員
・支援センターの職員
相談相手は一人に限らず、状況によって適した人を選ぶことも大切です。たとえば、就職に関する相談はキャリアセンター、生活や対人関係の悩みは心理士や相談員といったように、複数の相談先を持つのもありかと思います。
定期的に相談することの重要性
相談相手が見つかったら、「定期的に話を聞いてもらうこと」を意識してもらえたらと思います。
「何かあったときに相談する」のではなく、毎週や毎月など「定期的に相談の機会を設けること」が大切です。
・自分の気持ちが落ち着く
・現状を客観的に振り返ることができる
・問題が大きくなる前に対処できる
・相談することに慣れ、将来の面談や報告にも対応しやすくなる
特に「悩みがはっきりしないと相談しづらい」と思う人もおられるかもしれませんが、明確な悩みがなくても「最近の状況を話す」だけでも十分意味があるかと思います。 「特に問題はないけれど、定期的に話を聞いてもらいたい」と相談相手に伝えることをオススメします。
相談を続けるための工夫
定期的に相談を続けるためには、いくつかのコツがあります。
(1) 相談の内容を準備する
「何を話せばいいかわからない」と思うときは、次のようなテーマで話をしてみてもらえたらと思います。
・今のこと(最近あったこと、気になっていること)
・うまく進められないこと(困っていること、悩んでいること)
・不安なこと(なんとなく気になること、モヤモヤすること)
・これからのこと(今後の予定やどのように進めていきたいかなど)
話すことが苦手な場合は、紙に書いて相談相手に見せるのも一つの方法です。
箇条書きや手紙のような文章、図や表を使ってもよいかと思います。視覚的に伝えることで、相談相手にも状況が伝わりやすくなることもありますので、書いて見せるのも有効です。
(2) 相談を習慣にする
相談を続けることは、「相談することを習慣にする」という意味でもあります。
社会に出ると、定期的な面談(人事考課面談、1on1ミーティングなど)があり、職場でも報告・相談の機会は多くあります。今のうちから相談することに慣れておくことで、社会人になってからもスムーズに対応できるようになるかと思います。
また、相談することは「人の助けを借りる」ことでもあります。
人は一人では生きていけないですし、困ったときに誰かに頼るのは、とても自然なことです。
「相談することに慣れる」ことは、社会で生きていく上での大切なスキルにもなるかと思います。
まとめ
定期的に相談することは、不安を少なくして、見通しを持つための大切な手段です。
・相談相手を見つける(学生相談室、キャリアセンター、先生、心理士、支援センターなど)
・定期的に相談したいことを伝える(悩みがなくても定期的に話を聞いてもらう)
・相談の内容を準備する(話しやすい方法を選び、紙に書くのもOK)
・相談を習慣にする(将来の面談や報告にも活かせるスキル)
一人で悩みを抱え込まず、まずは信頼できる人に話してみることが大切です。
社会人になるための準備のひとつとして、「相談すること」を習慣にすることを取り組んでもらえたらと思います。

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コラムtoiroは、発達障害やコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。


ジョブジョイントおおさかの所長。
障害のある人の就労支援に携わって20年となり、講演実績は150件。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援なども担当してきた。趣味は、散歩、読書、キャンプ、ハイボール。夢の北アルプス登頂を目指してマイペースにトレーニング中。