発達障がいの強みと弱みは「環境との相性」で変化する
発達障がいのある人は、それぞれ特有の強みと弱みを持っています。しかし、これらは決して固定されたものではなく、環境によって見え方が大きく変わったりします。
ある場面では「強み」として評価される特性も、環境が変われば「弱み」として捉えられることもあったりします。
今回は、発達障がいの特性と環境の相性がどのように影響するのかをお伝えし、働きやすい環境を見つけることの重要性について考えていきたいと思います。
発達障がいの「強み」と「弱み」
発達障がいは先天的な脳機能の特性によるもので、特性そのものは大きく変わることはないかと思います。たとえば、次のような特徴が挙げられます。
社会性に関する特性の例
強み:年齢や立場にとらわれず公平に考える、ルールを重んじる、誠実
弱み:正直すぎる、融通が利きにくい、立場を気にせずトラブルになることがある
*出典:発達障害について理解するために(障害者職業総合センターHP)
同じ特性でも、周囲の環境や受け止め方によって「強み」にも「弱み」にもなり得ることがあります。
「環境」が強みと弱みを変化させる
例えば、細かいルールを厳格に守ることが求められる職場では、「ルールを重んじる」特性は強みとして評価されます。しかし、柔軟な対応を求められる環境では、「融通が利きにくい」として弱みと見なされることもあります。
また、「正直すぎる」という特性も、環境によっては「誠実で信頼できる」と評価されることもあれば、「遠慮がなく、協調性がない」と誤解されることもあります。
発達障がいのある人の特性は先天性のために変わらなくても、それを周囲がどう受け止めるかは環境によって異なります。そのため、自分の特性に合った環境を見つけることが、働き続けるうえでとても重要だと思います。
環境との相性が良ければ、活躍できる
発達障がいのある人が力を発揮しやすいのは、自分の特性が「強み」として評価される環境です。
たとえば、以下のような職場環境では、特性が活かされることが多いように思います。
・ルールが明確で、一貫性がある職場(例:製造工場での作業、物流でのピッキング等)
・細かい作業や正確性が求められる仕事(例:データ分析、品質管理、検品等)
・論理的な思考や専門知識を活かせる職場(例:プログラマー、会計士等)
・定型で反復性のある仕事(例:清掃、洗い場、流れ作業等)
逆に、曖昧なルールや臨機応変な対応が求められる環境では、特性が「弱み」として目立ちやすくなることがあります。そのため、仕事選びの際には「自分の特性に合った環境かどうか」をしっかり見極めることが大切となります。
さいごに
発達障がいの特性は生まれつきのもので、大きく変わることはないですが、環境との相性によって、特性が「強み」にも「弱み」にもなります。
そのため、自分の特性を理解し、それを「強み」として評価してくれる環境を選ぶことで、仕事での活躍が期待できるように思います。
大切なのは、「自分に合った環境」を見つけること。
自分の特性を活かせる環境であれば、職場のなかで十分に力を発揮できると思います。

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。


ジョブジョイントおおさかの所長。
障がいのある人の就労支援に携わって20年となり、講演実績は150件。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援なども担当してきた。趣味は、散歩、読書、キャンプ、ハイボール。夢の北アルプス登頂を目指してマイペースにトレーニング中。