【toiro】実録発達障がい24・電話応対への挑戦
実は私、お電話が苦手です。電話をかける際、通話ボタンを押すまでに40分かかった事例は、記憶に新しいやらかしのひとつです。
身近な方々にお話を聞く限り、発達障がい当事者の私たちにとって、電話応対は課題のひとつのようです。聴覚情報の処理、刻々と変化する状況に合わせた対応は、確かに苦手になりやすいことのひとつでしょう。
とはいえ、苦手だからとやらなければ、ずっと苦手なままです。挑戦するほかございません。
ではどうやって取り組むか。結論から言ってしまうと「地道に練習する」「環境を整える」のが最も効果的なようです。
「メモとペンを使って、動画や人の話を聞きながら、要点を書き留める練習をする」
「電話応対を想定した台本(トークスクリプト)を用意し、実際に電話をとる動作まで含めて、本番を再現した環境で練習をする」
「記録すべき情報の欄があらかじめ書かれた電話応対メモテンプレートを用意する(相手のお名前、かかってきた日時など)」
「受け答えの内容をある程度想定して準備し、すぐ見えるところに置いてから電話をかけはじめる」
「メモに使う筆記用具の管理、芯やインクの準備を日頃からしておく」
……など。
昨今ではボイスメモといった方法もあるのですが、実際のお仕事の場面では、録音のご許可を得られないこともあります。今のところ、こういった基本的な準備を続けて苦手意識を減らしていくのが、一番の対処方法のようです。
準備の内容こそ地道ですが、準備を簡単に整える方法は、昨今になって急速に充実してきております。誰かにお手間をとらせずとも、対話型AIに電話応対の台本をつくってもらったり、動画投稿を活用して要点をメモする練習を続けたりすることができます。
これらに加えて「日本のどこかで電話応対を学ぶ、発達障がい当事者の私たち」がいることが、同じく練習を続ける皆さまの励みになれば、せめてもの幸いでございます。

+++++++++++++++++++
コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。


発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。