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【toiro】猫に学ぶ発達障がい28・覚えるきっかけ

「何度も接すること」「詳しい情報全てでなくても、思い出すきっかけとなる情報に接し続けること」……人の顔と名前を結びつけるのが難しい発達障がいの二次障害「相貌失認」に対し、私が行っている対策がこちらです。
なんて基本的なことを、とお思いなのはごもっとも。しかし侮ることなかれ、関わる機会が多いほど関心を持ちやすくなる(結果覚えやすくもなる)効果は、心理学においても取り上げられています。
実際に効果のあった例も確認しました……もっとも相手は猫なのですが。

 

先日、母が入院したときのことです。私の気がかりのひとつは「我が家の猫が、母を忘れてしまうのではないか」でした。彼女が帰ってきたときに、猫が毛を逆立てて逃げ出すなんて状況は避けたいものです。
そこで週に2回、病院から持ち帰った母のパジャマを、猫の通り道に置いてみました。
猫はパジャマのにおいをかいだり、上で寝そべったりと興味を持った様子でした。
そして3カ月後、母が帰宅しました。猫はしっぽをぴんと立てて駆け寄り、母に抱き上げられると目を細めて喉をゴロゴロ鳴らしました。
かくして作戦は成功したわけです。

 

猫はにおいをきっかけに、母のことを覚えていました。私たち人間はどうでしょう。覚えておきたい物事を、何らかの方法で、毎日目に触れるよう工夫するのはどうでしょうか。
スマホやパソコンのホーム画面に写真を設定するのは? 電子機器が苦手なら手帳は? 工夫する余地はたくさんありそうです。

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。