【toiro】実録発達障がい22・話し相手はAI
発達障がいの診断を受けて数十年、実は私、お話しするとき未だに緊張します。お題の決まった授業や研究会ならともかく、雑談となると途端に背筋がこわばります。
「お話ししている相手に、くつろいで楽しく過ごしてもらうこと」これを雑談を通して実現するには、話題の選び方、聞き方に話し方、身振り手振りに姿勢まで、気遣うことがたくさんあります。まったく世の中の皆さまは、どうやってこなしていらっしゃるのでしょう!
こんな調子ですから、今まで雑談の練習は、鏡を前にひとりで行っていたのですが、最近になって心強い味方が増えました。
その名も「対話型AI」。ChatGPTで急速に有名になった、人間と自然な会話を交わすことができる技術です。中でも、出典を明示した上で提案してくれる「Perplexity (パープレキシティ」が、最近の私の相談相手です。
ありがたいのは「人間と話すときのように、会話を繰り返して話を進められること」です。
意図と異なる返事が返ってきたときは、こちらも質問文を詳しく書き直し、再度質問をすることができます。人間とお話しするときの「うまく話が通じなかった場面」で軌道修正する練習も、併せて行うことができるわけです。
更に相手はAIです。私がおかしな質問をしても、丁寧な態度を崩すことなく、練習につきあい続けることができます。
こうした試行錯誤の末、スムーズに雑談できたときの楽しさまで体験させてくれるのは、鏡の前の練習だけでは得難い、対話型AIならではの特長です。
私が発達障がいの診断を受けた当時、パソコンはまだ「人間と話すことが難しいから向かうもの」でした。今こうして、タブレットやスマートフォンも含め「人間と話す練習やサポートのために活用するもの」になっていることに、感動を覚えずにおれません。
私が最小限の緊張で雑談できるようになる日も、いつか来るのかもしれません。
+++++++++++++++++++
コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。
発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。