発達障害のある大学生の卒業後の進路(サポート体制)
発達障害のある大学生のうち、就職活動に悩む人は多いかと思います。
基本的には、就職活動は自力で進める必要があり、キャリアセンターがサポートはしてくれるものの、面接などに同行してくれるわけではありません。
「自力で就活を進められるか」
「誰かのサポートが必要か」
「どんなサポートがあるとよいか」
など、就職活動の進め方を考える上では、「自分でできること」と「サポートを受けること」は分けて考えることが重要なポイントとなります。
卒業すれば大学のサポートは一旦なくなります。引き続きのサポートも必要なら、「卒業後のサポート体制」も考えた上で進路を考える必要もあるかと思います。
ここでは、卒業後サポートとして使いやすい福祉サービス(就労移行支援など)を中心にご紹介します。
在学中の就活サポート
大学に所属するうちは、キャリアセンターや学生相談室などでサポートを受けることができます。
就職活動となると、キャリアセンターがサポートの中心です。
ただ、就活の基本は「自力」となります。
▼自力で進める主な就活内容
・自分で会社を探す
・説明会や見学会などに申込み、参加する
・インターンシップで仕事体験をしてみる
・ガクチカや自己PRを考え、作成する
・希望する企業にエントリーする
・面接対策をして、面接に臨む
一人で取り組むことをあげると、ざっとこんな感じでしょうか。
キャリアセンターが面談などで相談にのってくれたり、提出書類の添削などをサポートしてくれる場合もありますが、「会社にアポをとる」「エントリー(応募)する」「面接へ行く」などは学生さんが自ら進めていくことが基本となります。
ただ、一人で進めることが難しい状況もあるなら、「サポート体制」を作っていくことで就活を進めやすくなることもたくさんあると思います。
卒業後も考えたサポート体制
大学内でのサポートは、「在学中」がサポートを受ける前提条件でもあります。
(一部の大学では、卒業後もサポートしてくれる場合もあります。)
「就職活動がなかなか進まない」
「卒業間近だが内定がもらえない」
「卒業後も就活を続ける必要がある」
など、在学中に限らず卒業後もサポートが必要なら、「学外のサポート機関」も重要な存在となります。
▼学外のサポート機関
・就労移行支援支援事業所
・障害者就業・生活支援センター
・ハローワーク
・障害者職業センター
・若者サポートステーション
上記のように、学外にも多くのサポート機関が存在します。
一部、お住まいの地域によって名称が違う場合もありますが、上記のサポート機関を頼ってみることもオススメしたいと思います。
就職準備と就活サポートをする「就労移行支援」
ここでは、サポート機関のひとつである「就労移行支援(福祉サービス)」について、サポート内容を紹介したいと思います。
就労移行支援事業所とは、障害福祉サービスの一つに位置付けられ、「2年間の就活サポート」を受けることができます。
▼就労移行支援が利用できる人
・障がい者手帳のある人
・診断のある人
▼主なサポート内容
・就職に向けた準備(職業訓練、自己分析、配慮事項の確認等)
・企業見学やインターンシップの開催
・就職先の企業探しや面接同行
・就職後のサポート(職場訪問や個別相談)
どんな人が就労移行支援に通っているか、具体的なサポートの流れなどについては、以下のサイトをご覧いただけたらと思います。
ご家族にむけて(サポートの必要性)
就職はゴールではなく、社会人生活が始まるための「スタート」といった意味もあります。
そうなると、就活のサポートに限らず、就職後のサポート体制や本人が気軽に話せる支援者の存在は、就職後の生活を安定へと繋げることが期待できます。
学内のキャリアセンターなどで就職情報を仕入れながら、学外での継続的なサポートも考えた卒業後のサポート体制について、家族としても気にかけてもらえたらと感じています。
(ご本人も、サポート機関に行ってそこの支援者と話すことでサポートの必要性もイメージしやすくなるかと思います。)
ジョブジョイントおおさかとしては、大学生の就活支援をする中で、卒業後や社会人になった後のことを心配し、様々に相談されるご家族も多いと感じています。
就労移行支援事業所や障害者就業生活支援センターなどは、卒業後や社会人生活が始まった後も長く支援できるサポート機関でもあるので、ご検討いただけたらと思います。
まとめ
今回は、発達障害のある大学生の卒業後進路について、主には「サポート体制」のことをまとめてみました。
・大学生の就活は、基本的に「自力」で行う必要がある
・一人で進める難しさがあるなら、「必要なサポート」も検討が必要
・学内でのサポートは卒業するまでのため、学外のサポート機関も探す必要がある
・就労移行支援事業所では、就職準備から就活、就職後をトータルでサポートしてくれる
学生さん自身で取り組める就活はできる範囲で行いながらも、卒業後のことや将来のことはご家族のほうでも考えるなかで「サポート付きの社会人生活」を送ることも大切な視点なように思います。
福祉側で取り組むサポート機関はひと昔前より充実しています。
いろんな視点で卒業後のことを考えてもらえたらと思います。
+++++++++++++++++++
コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。
ジョブジョイントおおさかの所長。
障がいのある人の地域生活支援の仕事をして15年。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援など、ライフステージごとの支援に携わってきた。趣味は、登山、散歩、読書。現在は、北アルプス登頂目指してマイペースにトレーニング中。