【toiro】実録発達障がい20・お茶でも一杯
ときに皆さま、お茶はお好きでしょうか。
紅茶に限らず、緑茶にほうじ茶、ハーブティーからコーヒーまで。種類こそ違えど、飲み物を伴う休憩の習慣は、皆さまいくらかお持ちのことと存じます。
「今大変なんだ」「お茶なんか飲んでる場合じゃない」とおっしゃる方もおいでかもしれません。ただ、そんな気持ちのときこそ、問題を解決するためにも、ひと息入れたほうがいいのかもしれない……そんなふうに感じる出来事がありました。
知人Aさんに呼び出されたときのことです。
聞けば「書き上げたばかりの文章を消してしまった」「元に戻せないか」とのこと。
こんな時に限って、保存をしたのはだいぶ前。手を尽くしたものの、消えた文章は元には戻りませんでした。
更に悪いことに、私は日頃Aさんに「こまめにバックアップを取ったほうがいいよ」「操作ミスしやすいなら、メモ帳に下書きしたほうがいいよ」と伝えておりました(とはいえ、この状況で同じことを言おうものなら、火に油を注ぐだけです)。
Aさんも自分ではわかっておいでです。でも腹が立つ。大事な文章を消してしまったことも、気持ちを切り替えたいのにイライラしてしまう自分にも。
さあ、私はどうしたらいいか。
私はAさんのそばを離れて、お茶の葉の棚に向かいました。リラックス効果のハーブティーを入れて、Aさんの傍の机に置き、しばらく離れることにしました。
「文章のことは残念でした」「どうか思いつめないで」「ひと休みしても間に合いますよ」……きっとどれも、Aさんは自分でご存じでした。
私にできることは、Aさんが次に進めるよう、周りの状態を整えること。そのために、お茶の力を借りることにしたわけです。
その後Aさんは、消えてしまった箇所の文章を、無事書き直すことができました。
ずいぶん落ち着いた様子で「ありがとう」の言葉をかけてくれたのは、さらにその後、私が自分のお茶を飲んでいるときのことです。
もしも皆さまが「ちょっとイライラしている」「思いつめすぎているかもしれない」ときは、お茶を入れてみるのはいかがでしょう。
お湯をわかして、ティーポットとお茶の葉を用意して……いったん問題から離れて、お茶を飲み終えるころには、もう一度取り組む元気を取り戻せるかもしれませんから。
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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。
発達障がい当事者。お仕事では記事の執筆・イラストの制作・動画制作などを行っています。
ピアサポートグループの活動・講演会への参加などを通して、地方の町から発達障がいに関する発信を行っています。
こちらのブログ「toiro」では、自分自身の体験・身近な方々の体験談に基づいて「日常生活での気づき」「実際に役立った、二次障がいへの対処・予防方法」「猫の観察記録から学んだ、発達障がいとのつきあい方」などの記事を作成しています。