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わかりやすく教える技術〜自閉症、発達障がいの特性に合わせて〜

学校で勉強を教えてもらう、家で家事を親から教えてもらう、職場で仕事の仕方を教えてもらうなど、「教えてもらう」ということは誰しもが様々な場面において経験することであると思います。

今日はそんな場面に役立つことのひとつとして、「わかりやすく教える技術」をテーマに、自閉症や発達障がいのある方にとって伝わりやすい方法を考えていきます。

 

以前のコラムでは、「視覚的な情報伝達」の大切さについて書いています。

コラムにもあるように、「口頭ではなく視覚的」が情報を伝える際には有効で、大事なポイントでもあります。

例えば、仕事を教える場面で考えてみると、「手順書」「業務マニュアル」「指示書」などは教える際に活用することはよくあるかと思います。これも視覚的な情報伝達です。手順書を使い、先輩が後輩に仕事を教え、後輩は先輩がいなくなった後も手順書を手がかりに独り立ちを目指す…、といったことは社内でよくあることのように思います。

「わかりやすく教える技術」をもう少し深掘りすると、手順書やマニュアルは写真や動画が加わっているとイメージしやすいですが、テキストのみだと仕事を進めるイメージがもちづらいこともあります。そのため、「実演してみる」「やってみせる」ことで実際の進め方が具体的に明確にイメージでき、結果的にわかりやすく伝わることにつながります。

 

就労支援の現場では、OJTという言葉をよく使います。On the Job Training (オンザジョブトレーニング)の略です。現場(実地)で仕事を教え、トレーニングしていく。その場でその都度教えていくことで、現場で使う道具や環境も含めて理解と適応ができ、習熟が早くなるとされています。わかりやすく教えるには、「OJT」は大切なポイントです。

また、もう一つ大事なポイントがあります。それは、「褒める」ということ。

褒めるは、過度に褒め上手になるというよりは、声かけの視点になります。例えば、教えたことに対して仕事に取り掛かる自閉症、発達障がいの方に対して、「そうですよ」「そのままで大丈夫ですよ」「うまくいってますよ」などと肯定的な声かけをするということをここでは「褒める」と表現しています。

誰でもそうですが、いくらわかりやすく教えたとしても、教えてもらった側がすぐにできるようになるわけはなく、初めて取り掛かる時は緊張や不安もある中でスタートすると思います。その時に、褒める声かけは緊張や不安を和らげ、今の取り組みに少しずつ自信が持て、結果的に独り立ちや習得が早まるように思います。

 

話をまとめると、わかりやすく教えるには視覚的な情報伝達が大切です。それをさらに効果的にするためには、「OJT」で伝える、そして「褒める」の視点で声かけする。これらがわかりやすく教える技術につながり、自閉症や発達障がいの人にとっても理解がしやすくなります。ぜひ、身近なところから取り組んでもらえたらと思います。

 

特別コラムはこちら

2021年、世界自閉症啓発デーに合わせた特別コラムをつくりました。簡単な説明ではありますが、自閉症・発達障がいのことをお伝えしています。
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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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ジョブジョイントおおさかの所長。
障がいのある人の地域生活支援の仕事をして15年。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援など、ライフステージごとの支援に携わってきた。趣味は、登山、散歩、読書。現在は、北アルプス登頂目指してマイペースにトレーニング中。