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【toiro】「正しく恐れる」ということ ~自然災害に備える~

8月に入り、夏も本番。あちこちで猛暑や豪雨のニュースが聞かれるようになりました。

これからは台風シーズンでもあり、自然災害に気を付けねばならない季節ですね。

ジョブジョイントおおさかの自立訓練では週1回、社会人生活を送るために必要なスキルを学ぶことを目的として、「ライフスキル倶楽部」という講座を実施しています。その一環として、先日、大阪市内の防災センターに行ってきました。講座では6月頃から自然災害をテーマにした内容を数回に分けて学び、まとめ学習として防災センターでの体験を取り入れました。

南海トラフ地震を想定したシアターなどは、とてもリアリティがあり、みなさんが真剣なまなざしで見ておられたのが印象的でした。最後に震度7の体験があったのですが、これには参加されない方も結構おられました。純粋に揺れが怖い…と感じられるがいる一方で、一つのアトラクション感覚として楽しみにされていた方もおられたのですが、実際に揺れが始まると、体験している皆さんの表情がみるみるうちに真剣になってくるのがよくわかりました。揺れを体験している人だけでなく、横でそれを見ている人たちの表情もです。
体験するということは、貴重なことですね。身体で覚えるのが一番記憶に残ると思いますが、中には感覚過敏などでしんどい方もおられるので、そこはご本人の意思を尊重します。でも話で聞くだけと、実際に見るのとでは大違いです。横で揺れの様子を見ていた人も、きっと視覚から得た体験として記憶に残ることでしょう。

中には、それが恐怖体験として残るのでは…と心配される方もおられるかもしれませんが、それは少し違う気がしています。相手は「自然災害」です。地球上では、地震や台風などの自然の脅威は避けることのできない身近な問題です。できれば避けて通りたいとは誰しもが思うことですが、近年の地球温暖化の影響などを目の当たりにしていると、いつ自分たちの身に降りかかってきても不思議はないのが現実ですね。だからこそ、怖いからと言って災害への不安に蓋をしてしまうのではなく、「正しく恐れる」ということが大切なのではないかと思うのです。

やみくもに恐れるのではなく、どういうメカニズムで地震や台風が起きるのかを知ったり、想定される災害を体験してみたり、地球は生きているということに気付くのも、「なぜ?」にこだわる自閉症の人たちにとっては、とても大切なことかもしれません。

かつて東日本大震災の時に、自閉症の人たちが、避難所の環境がしんどくて、車内で過ごされたり、とても苦労をされたと聞きました。講座では、その話にも触れて、避難時に持ち出すものの中に、これがあれば少しでも不安を和らげることができるというような、自分の安心グッズも加えておけるといいですね、ということをお伝えしました。

避けられない自然の脅威から目をそらさず、正しく恐れることで、もしもに備えて必要なことを準備する。そして、その準備したことで、少しでもその人の不安が軽減し、安心につなげることができれば嬉しいことだなと思います。

 

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がいのある二人の成人の母+就労支援事業所の支援員。
2人を育てた経験を活かし、自閉症スペクトラム支援士、ペアレント・メンターとしても活躍中。
最近は、ドラマを見ながら眠ってしまって結末が見れない母のために、それを見越して、そっと録画予約をしておいてくれる優しい息子と娘に感謝する毎日です。