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【toiro】実録発達障がい3・時間のかかる学び

1年と7カ月。
これは私が「10分前出勤できるようになるまでかかった時間」です。

入社して2カ月ほどしたころ、私は「出勤時間の10分前に出社する」というルールを教わりました。そして10分前出勤を連続30日間できるようになったのが、1年と7カ月後。それまでの間、遅刻はしないけれど余裕があるわけでもない、絶妙な出勤をしていた時期があったわけです(見守ってくださった周囲の皆さんには、ほんとうに感謝でいっぱいです)

 

念のため申し上げると、発達障がいの人がみんな、こんなにも時間管理にてこずるわけではありません(日頃から時間に正確な方もいれば、すぐに早起きができるようになる方もいらっしゃいます)

これは、新しい技術や習慣を身に付けようとするとき、想像以上に時間がかかることがある……という例の紹介です。周りの方の想像はもちろん、本人の想像以上にも、です。

 

発達障がいの人は、得意なこと・苦手なことの落差がとても大きいことがあります。その落差は、周りの方から見て難しいかどうかとは、まったく無関係なこともしばしばです。パソコンのソフトの使い方を覚えるのは早くても、時間管理のコツを覚えるには時間がかかるかもしれないのです。

「出勤時間の10分前に出社する」というルールを私に伝えた方は最初、こう考えたことでしょう。翌日には10分前に来てくれるようになるし、そのあとすぐに習慣化するだろう、と。私自身もそう考えていました。

でも実際には違いました。時間通りに起きようとして失敗し、10分前行動をしようとしてまた失敗。仮説を立てては実践し、習慣化できる方法「30分前行動」「前日のうちに準備」を見つけるまで、私は1年以上の時間を必要としました。

私自身が、苦手なことにかかる時間を理解しきれていなかったために、起こった出来事だったわけです。

 

もし皆さんが、新しい技術や習慣を身に付けるために学んでいて、けれども予定より時間がかかっているとしたら、がっかりして投げ出すのはちょっとだけ待ってもらえないでしょうか。得意なことのようにはいかないかもしれません。ですが工夫を加えながら挑戦を繰り返すことで、できるようになることもあります。投げ出してしまわなければ……それこそ1年と7カ月後に、できるようになることだってあるわけですから。

 

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
須藤真理子(Suto Mariko)

発達障がい当事者。地方都市でピアサポートグループの活動を行っています。
当事者の視点から、自分で試してみた情報の共有や周知活動に参加しています。
主な内容は「食生活と発達障がいの関係」「実際に役立った・便利だった二次障がい対処法」「日常生活での気づき」など。
好きなことは、絵を描くこと・物語を書くこと。
「二次障がいでつらいとき、ものづくりにエネルギーを使う」のは、かなり実用的な対処方法だとお伝えしたい次第。