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【toiro】猫に学ぶ発達障害10・助けを求める力

にゃー! と甲高い鳴き声がしたら、我が家ではまず猫の居場所を探します。そんなふうに鳴くのは決まって、高いところに登ってしまった猫が、助けを求めているときだからです。

これまでに猫が見つかった場所は、本棚のてっぺん、高窓の枠、1階の窓のひさしなど。最初は誇らしげに私たちを見下ろしているのですが、そのうちうろうろと歩き回りはじめます。自力で降りるのが難しいとわかったとたん「にゃー!」。私が脚立に登って手を伸ばすと、腕をつたって大急ぎで下りてきます。

「自分で下りられないなら登るんじゃありません」って? まったくそのとおり。言い聞かせて通じるなら、猫にもそうしたいところです。

 

しかしこの件、こう考えることもできるのです……我が家の猫は「助けを求める力」を持っていると言えるのではないか? と。

そんなの大した力じゃない? そうお思いでしょうか。

 

私たちは日々の暮らしの中で、大きな問題に直面することがあります。手にあまる仕事を抱え込んでしまったり、ひとりで考えてもどうしても解決方法が見つからなかったりした経験は、きっとおありのことでしょう。

そうしたとき私たちは、素直に自分の状況をうちあけて、助けてほしいと頼むことができるでしょうか。そんなふうに助けてもらえる、心あたりの場所があるでしょうか。

叱られるのが嫌だと感じたり、弱いと思われたくなかったり、助けを求める自分そのものを許せなかったり……そんな気持ちが起こることもあります。ですが問題に対処しきれないとき、適切な相手に素早く助けを求めることは、本当に有効な方法のひとつです。自分自身の気持ちに負けず、解決に向かう行動をとれることは、立派な「助けを求める力」と呼んでもいいのではないか。自分の弱さを振り返るとき、私はそう考えるのです。

 

もちろん猫と人間は違います。ですが我が家の猫は、こと助けを求める相手については、充分心あたりを持っていると言っていいでしょう。なにしろ私は「にゃー!」と聞こえたら、はいはいと声をかけながらも、脚立をかかえて毎回かけつける飼い主なわけですから……今までに私を助けてくださった、学校の先生やお医者さん、就労支援員さんといった方々が、私にそうしてくださったように。

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
須藤真理子(Suto Mariko)

発達障がい当事者。地方都市でピアサポートグループの活動を行っています。
当事者の視点から、自分で試してみた情報の共有や周知活動に参加しています。
主な内容は「食生活と発達障がいの関係」「実際に役立った・便利だった二次障がい対処法」「日常生活での気づき」など。
好きなことは、絵を描くこと・物語を書くこと。
「二次障がいでつらいとき、ものづくりにエネルギーを使う」のは、かなり実用的な対処方法だとお伝えしたい次第。