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【toiro】わかりあえないけどちょうどいい

今回は(今回も?)題名がかなりとんがっていますね。ご覧の皆様におかれましては、突っ込みを入れたくなった方もいらっしゃることでしょう。

「共感って大事なことじゃないの?」「わかりあえない、なんてあんまりじゃないか?」……こんなふうに思われる方もおありかもしれませんので、説明のお時間をいただきたく存じます。

 

共感には2種類あります。「認知的共感」「情動的共感」です。かいつまむと、認知的共感は「相手の立場になって考えること」。情動的共感は「相手に感情移入すること」。そして、ここがポイントなのですが、どちらも、本当に100%相手と同じになることはできません。

それでいいのかって? もちろんです。

私たち人間は、それぞれ別の体を持って生きています。ですから相手の立場や気持ちについて、近いところまで想像はできても、まったく同じものを体感することはありません。むしろ、そのおかげで私たちは、お互い助け合うことができるのです。

 

たとえば私たちが、目の前でうずくまっている誰かに、ほんの少しのズレもなく共感したらどうなるでしょう。動けないくらいの痛みと、悲しみの感情を、まるっきり自分のこととして感じてしまったら? ……おわかりですよね。私たちはその人を助けられなくなってしまいます。せっかく別々の体を持った人間であるにも関わらず、背中をさすって話を聞いたり、お医者様を呼んだりすることができなくなってしまうのです!

(この現象はHSP(Highly Sensitive Person:ひときわ感受性の強い・繊細な人)にも見られることがあります。実際にHSPでもある発達障がい当事者の方には、向かいの席に座っている方がふさぎ込んでいるだけで、自分も同じ気持ちになるという方もいます)

 

こうして考えてみると、私たちが相手と同じ気持ちになりきらないこと、客観的な視点を残しておくことは、薄情でもなんでもないとおわかりいただけるのではないでしょうか。

そして、もし皆さんが「ちょっとの辛いことであれば自分で片付けられる」「とても辛いときは、周りの人の力を適切に借りられる」のだとしたら……それはもう、立派な社会貢献と呼べるのではないか、と私は考えます。自分の気持ちのもやもやを自分で処理できている、ひいては誰かの気持ちを守っているとも言えるわけですからね。

 

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コラムtoiroは、
発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。
名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
須藤真理子(Suto Mariko)

発達障がい当事者。地方都市でピアサポートグループの活動を行っています。
当事者の視点から、自分で試してみた情報の共有や周知活動に参加しています。
主な内容は「食生活と発達障がいの関係」「実際に役立った・便利だった二次障がい対処法」「日常生活での気づき」など。
好きなことは、絵を描くこと・物語を書くこと。
「二次障がいでつらいとき、ものづくりにエネルギーを使う」のは、かなり実用的な対処方法だとお伝えしたい次第。