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【toiro】only one としての自分を知る

立秋も過ぎ、わずかに秋の気配を感じていたのもつかの間、また残暑が戻ってきましたね。我が家の庭先には、夏のあいだ目を楽しませてくれた「酔(すい)芙蓉(ふよう)」の花がそろそろ終わりを告げようとしています。朝咲いた白い花が、昼には薄ピンク、夕方には濃いピンクに色が変化していくなんとも不思議な花で、白色からピンク色に変化していく姿がお酒を飲んで顔が赤くなる姿のようであることから、こう名付けられたそうです。

 

さて、JJでは時々、卒業して就職された先輩方から、直接ご自身の体験談などを聞く機会を設けています。先輩方のお話はリアリティがあり、身近に感じることができるのか、皆さんとても熱心に耳を傾けておられます。おそらく、皆さんは私たちが思うよりもずっと、「自分のこと、自分の障がいのことを知りたい」と思っておられるのだと感じています。

 

ずいぶん前になりますが、ご自身の障がいのことを知りたいと、ASDやADHDの特性のことを勉強していた方のことを思い出しました。障がいの特性には自分にピタッとあてはまることもたくさんあって、納得されることも多かった半面、どうも自分には当てはまらないこともあり、自分のことがよくわからないと悩んでおられました。そんな折に、自己理解のお話をする機会がありました。

私は、Aさんのことを、「ASDのAさん」「ADHDのAさん」ではなくて、「Aさん with ASD」「Aさんwith ADHD」というふうに理解していることを伝えました。

 

人は誰でも、まずベースに気質(生まれつきの性質)があり、その上に生まれ育った文化や環境によって形成された性格(後天的な性質)を持つ唯一無二の存在であること。さらに、そのAさんには「ASD」や「ADHD」という障がいの一部特性がプラスされて、「Aさん」という一人の人格が形成されている。それを「with」で表したのです。

だから同じ障がい名の人でも、一人一人は全然違うこと、Aさんを理解するのにASDやADHDの部分だけを見るのではなく、「Aさん」という個人をまず理解しないといけないのだ、という話をしました。すると、Aさんは「そうなんですよ、こんな話が聞きたかったんです!」と、目を輝かせておられたのを思い出します。

 

ご自身の障がいについて正しく理解し、うまく付き合っていくことはとても大切なことです。ただ、障がいの部分ばかりに目を向けていると、自分自身を置き去りにしてしまうかもしれません。ご自身がもともと持っている性格に障がい特性が絡み合ってonly oneの自分が存在していることを忘れず、自分自身を大切にしてほしいと願います。

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コラムtoiroは、発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます。

この記事を書いた人
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発達障がいのある二人の成人の母+就労支援事業所の支援員。
2人を育てた経験を活かし、自閉症スペクトラム支援士、ペアレント・メンターとしても活躍中。
最近は、ドラマを見ながら眠ってしまって結末が見れない母のために、それを見越して、そっと録画予約をしておいてくれる優しい息子と娘に感謝する毎日です。