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【toiro】エスカレーターを止める優しさ

優しいとは、どういうことを指すのでしょう。

人間関係において、毎度揉めたりやり直しづらかったり、関係を築くことに苦労したりする発達障害当事者。優しくしたいと考えているが、優しいふりをするのは難しい。仮に優しさが、相手にとって都合の良いふるまいを指すのなら、私は優しいことを一切諦めてもいいのではないかとさえ考えます。

しかしいくらなんでもそんなことはないはず。諦める前にもう少し考える余地はないものか。
そんな自問を繰り返して幾数年。現在の私は、一応の答を手元に持っています

 

きっかけとなったのは、私が遭遇したエスカレーター上での事故です。

 

大阪のとある駅構内、私はエスカレーターの乗り口の近くに立っておりました。傍を通り抜けて、おばあさんが三人、エスカレーターに乗り込みました。
と思うと、足がもつれたのか、おばあさんたちはエスカレーターの上で転んでしまいました。動く足場に服が挟まれて、起き上がることもできません。助けてー、と声があがるも、エスカレーターはおばあさんたちを上へ上へと運んでいきます。
近くにいた何人かが、おばあさんたちを助けるために、エスカレーターを駆け上って行きました。

 

私は何をしたかって?
私がしたのは、エスカレーターの緊急停止ボタンを探し出して、押すことでした。

 

このことを振り返るとき私は、優しさにも様々な表現があるのだ、ということを思い出します。

怪我人のところに、みんなして詰めかけても、怪我人は怪我人のままです。
応急手当をする人、お医者様を呼ぶ人。それぞれの人が考えて、できることをしたのならそれが優しさです。優しさの表現が、見ている誰かにとってわかりやすいかは、別の話です。

 

優しいとはどういうことか?

「私にできることは何か」を考えて、行動すること。うまくいかない時があっても、めげずに考えて、行動を続けること。

今の私にとって「優しさ」とはそういうものです。皆さんはいかがでしょうか?

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コラムtoiroは、
発達障がいやコミュニケーションに苦手さを感じているご本人、学生さん、お子さんを応援するコラム。
名前は、十人十色からつけました。
読者の方にとって、少しでも役に立つヒントになればうれしく思っています。
不定期ですが、ちょっとずつ更新していきます

この記事を書いた人
須藤真理子(Suto Mariko)

発達障がい当事者。地方都市でピアサポートグループの活動を行っています。
当事者の視点から、自分で試してみた情報の共有や周知活動に参加しています。
主な内容は「食生活と発達障害の関係」「実際に役立った・便利だった二次障害対処法」「日常生活での気づき」など。
好きなことは、絵を描くこと・物語を書くこと。
「二次障害でつらいとき、ものづくりにエネルギーを使う」のは、かなり実用的な対処方法だとお伝えしたい次第。