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第二回ジョブジョイントおおさか実践報告会のご報告

1月29日、高槻商工会議所にて「ジョブジョイントおおさか実践報告会」が開催されました。いつもどおり、部屋いっぱいに参加者さんが集まったところで、いよいよスタートです。

 

基調講演「発達障がいのある方の企業就労」では、大妻女子大学・繩岡好晴さんが登壇されました。お話の内容は就労アセスメント、すなわち「障がいのある人の能力を把握して、就労のための活動につなげる諸々の援助」についてです。「根拠のある方法を用いて、本人の自主的活動を重視して行われなければならない」という前提のもと、「就労アセスメントがどのように実施され普及しているのか」「発達障がい者本人の自己理解がどのように支援される必要があるのか」……真剣なお話がつづくかと思いきや、合間に鳥取旅行の話をはさみつつ、和やかな調子でお話が進みます。

次は本題、ジョブジョイントおおさかの実践報告です。スタッフ・本部さんより、現場で行われている就労支援の取り組みが紹介されます。「就労アセスメントを実際の活動に移すにあたって、どのような方法をとっているのか」といった、基調講演の内容を引き継ぐかたちで、支援プログラムの組立とその目的、実際に使用されている模擬実習の内容まで、詳しく取り上げられます。

 

最後に行われるのは、卒業生による振り返り。現在も就労を続けている発達障がい当事者のお二人から、ジョブジョイントおおさかに在籍していた当時と、今に至るまでの体験談を聞くことができました。清掃に事務、それぞれ異なるお仕事についているお二人ともが、今後の目標を立てて活動していらっしゃいます。

こうした今回の報告会の内容を通して、ジョブジョイントおおさかの就労支援のポイントが、改めて明らかになりました。

ひとつは、現在の実践内容の整合性が確認されたことです。基調講演で取り上げられたように、根拠をともなう「理論」をもとに、問題解決のための方法が「実践」され、就労された卒業生の方々という形の「結果」につながる、という流れが、ジョブジョイントおおさかでは既に確立し、利用者さんに提供されています。

もうひとつは、こうした支援を作り上げるための具体的な手順が、既に出来上がっていることです。
ジョブジョイントおおさかに来所した利用者さんは、最初の2ヶ月ほどの間に、さまざまな作業に取り組みます。事務から作業、清掃まで、実施されているワークサンプル(模擬作業実習)は、約250種類にも及びます。この期間に、支援者であるスタッフさんたちは、障害の特性や得意不得意など、利用者さんの現状把握を行います。こうして集められた情報をもとに、最長2年間の支援計画が立てられています。
この計画をより有効なものにしているのが、ワークサンプルとセットになっているマニュアル(手順書)、そしてジグ(治具)です。マニュアルはその名のとおり、作業の手順が文字や図解、写真を用いて解説されているもの。動画が役立つ場面ではiPadも活躍します。ジグは、正確に作業に取り組めるように用意する、目印のようなものを指しています。細かい文字が書かれているページを見やすくするため、行にそってあてる定規、これもジグの一種です。
利用者さんは、マニュアルを参考に自分で考えて作業にあたり、ジグによって、よりよい作業を行うためにどんな準備をすればよいか、実際に体験することができます。スタッフさんはじめ支援者は、マニュアルを通して作業内容をわかりやすく伝えることができ、用意したジグが利用者さんに有効か、確認する機会を得ることができます。このように、ジョブジョイントおおさかの取り組みでは、お互いにとって利点のあるしくみを前提に、すべての活動が行われています。

こだわりの強い発達障がい当事者の方にとっては、ときに「自分のやり方で取り組んだほうがいい」と感じることもあるかもしれません。作業に慣れて、自分の意見を伝えられるようになってくればなおさらです。ですが一方で、他の人から見た自分を確認し、都度修正・改善する方法は、社会の中で活動するにあたり、どうしても必要になってきます。

卒業生さんのひとりは、自身の発表のなかで、就労後の体験をこのように振り返っていらっしゃいました。
「就労したてのころは、業務を行うとき、自分で判断して行動してしまうことが多かったんです。けれど働いているうちに、どの業務のスケジュールも、それぞれの担当の方がよく考えた上で決めてあることがわかってきました。そのことに気がついてからは、素直に話を聞くことができるようになりました」

自分自身を「人に流されないマイペース」と表現していらっしゃっただけに、印象に残る言葉でした。

( 広報スタッフ )